癌の記録 初診と検査


初診

公立昭和病院から紹介を受けて、2019/8/20に国立がん研究センター中央病院へ。最寄駅は築地市場。旧築地市場はすっかり建物の跡形もなく、工事が続いている。病院は向かい。当然ながら、国内第一級の施設だけに大きい。

国立がん研究センター中央病院
国立がん研究センター中央病院

今回は、パートナーじょにおが同伴している。来る前日などは色々考えてナーバスな感じになった時間もあったが(癌が具体的に何の癌なのかとか、治療は長いのかとか、そういった将来的な不安ではなく、どんな検査をするんだろうか、痛かったら嫌だななどという直近のことへの不安)、来ると肝が据わるのか、落ち着かない気分ではない。「ランチのやっているような時間のうちに終わったら、場外市場でお寿司でも食べようか」などとのんびりしたことをじょにおと言いつつ病院に入り、受付を済ませ、予約に従って頭頸部外科へ。

中は当然高度にシステム化されている。そういうのを見ると、自分の身のためにどのような選択ができるのか、自分はどうしたいのかを見失わないようにしなければ、と思う。が、もちろん今の時代は、患者を丁寧に扱うことは、たとえ公立や国立でも浸透してきているようだ。事務の人達やナースは皆分かりやすい口調で丁寧。初診を待って医師に会う。

昭和病院から渡された紹介状と資料を見つつだが、結局昭和病院でやられた同じことも繰り返しつつ、他の検査もすることに。診察ではスコープを鼻から入れて喉を見、検査用にリンパ節から組織を取った。首に麻酔をしたうえで太めの針を入れるのだが、麻酔をしていても痛みはあるし、パチンと組織を切り取る衝撃も、決して気持ちのいいものではない。

医師は明快な口調と平明な説明をする人で、好感が持てた。現段階での見立てでは、扁桃腺辺りの中咽頭癌ではないかとのこと。現段階では、扁桃腺を外部から見ても、病変は認められず、きれいだとか。酒やたばこを原因とするものと、ウィルス性のものとに大別されるとか。前者ならステージ4、後者ならステージ1であろうと。しかし、部位の特定や正式な判断は、当然ながら検査結果を待ってのものになり、それは来週に。リンパ節腫瘍の可能性もなくはない。
手術か放射線治療かの選択になるが、どちらがいいか尋ねられて、手術を選択した。その方がしっかり治療できるし、通いだと長くなる可能性もある。尤も、ステージ4だといずれにしろ長い付き合いになるだろうが。あるいは、悪い意味であっけないか。

医師が、検査と入院予約の手配、そして次回の受診日程を、こちらの日程を考慮しつつ手早く手配してくれたことにも好感。PET/MRI検査は翌日、検査結果を受けての診断は来週火曜に受ける予約をして、その後は当日できる検査を一通り回る。検尿、採血、レントゲン、心電図等。

初診翌日 PET/MRI検査

2019/8/21、朝一番に再訪し、検査。PET/MRI検査は初めてだった、これは前日の組織採取に比べると、まったく楽。造影剤を入れる2回の注射も。GE製の機械に入り、検査をしてあとは来週の結果診断を待つのみ。さしてこのパラグラフを設けるほどのことでもないのだが、これは自分の記録として。

思いは巡るが

何をしても、どういった精神状態でいても検査の結果は変わらない。もう一つ言うと、医師からは今までの生活スタイルを何ひとつ変える必要はないと言われた。急激な体重減少もなく、過大な喫煙をしている訳でもなく。首のリンパ節の腫れは残っており、組織を取る検査の後、検査前よりむしろ少し痛みがあるが、それとて常時感じるほどでなく、時々「あ、あるな」という程度。こうしてブログなど書いていると、まるで癌などないかのようだ。

しかし、もちろんそれは厳然としてある訳で、ふとした時に、憂鬱な物思いに耽ることがある。じょにおとの生活も普段どおりだが、ふと、もし自分が死んだ時にどうするかを話し合っていて、俺としては、14歳も年下のじょにおにはまだまだ人生途上なのだから、適当なところでまた一緒に人生を歩みたいと思える相手が出てきたら、その時は逡巡せずにその人と歩むといい、という話をした。が、じょにおは、多分一人でいるかな、などと言う、そして、二人であれこれ調度品を揃えて暮らしてきたこの家に住み続けることができる気もしないから、売るかとも考えるとか。
まあ、こうした会話も、この先のことはまだ確定してもいなくて、余命宣告されてもいなく、あくまで可能性として、という段階だからこそ話していられるのか。それに、こうした話をしていても、どちらにも悲壮感はない。公正証書作成も進めているし(内容を精査し、作成案を検討して、完成は1ヶ月はかかる予定だ)、現実は現実として受け止めておく他ない、との共通認識からの話だ。

夜更けて。「そうは言っても、考え事をすると、寝付けなくもなるな」と思ったら、それはいつもの癖で、それすら普段と変わっていないのだった。

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