DS4修理中に代車に見た車作りの違い


これからトヨタの車を盛大に批判するので、トヨタ車ファン/トヨタの車を使っている人/作っている人は、これから先を読まない方がいいかもしれない。いやむしろ読んでほしいのだが、気分を害する人もいるだろう。

この前、車に乗って信号待ちをしていて後ろから追突された。Yの字になった交差点で、もう一方が青信号になったのでこちらも青になったと勘違いした後続車が止まりきれず、ゴン、と。ウレタンバンパー同士なら回復力もあっただろうから、「気をつけてくださいよ、まったく」で済まそうかとも思ったのだが、こちらはあいにくリアバンパー下にクロームモールがあり、そこが傷ついてしまったので物損事故として処理。

哀れ、傷ものに。
哀れ、傷ものに。

相手方の全過失事故。翌日向こうの保険会社の担当から電話があり、ディーラーで直したい旨告げてディーラーと保険会社とで連絡をつけてもらうことにした。そして修理中、保険会社から代車を出してもらったのだが、まずその担当、うちの車種をDS4と告げると、「BS…?」と言うことからして、車のことがからきし分かっていない。衛星放送じゃないんだから、と思いつつ、声からすると若い男性のようで、ああ最近の若い世代は車に興味がないって本当なんだなと、妙なところで実感した。

それはそうとその保険会社の担当、車のことが分かっていないので車格相応などということには思い及ぶはずもなく、代車としてカローラフィールダー(先ごろフルチェンジした新型でなく先代型)を手配してきた。こちらもそれについて妙にゴネるのも品がないし、たかだか1週間強、遠出の予定もないしと思ってそのまま使うことにしたのだが。

まあそのカローラフィールダー、まるで作りがなっていなくて、こうも酷いものかと呆れた。

安い大衆車である。こういう車はいかにコストを削って売るかにかかっている。そんなことは重々承知だ。だから、スイッチ類がクリック感の薄いペコペコのプラスティックだったり、ドアの閉まりがいかにも安っぽい「ボカン」という音で重厚感がなかったり、イグニッションをオフにするとドアミラーの格納スイッチを押しても動作しなかったり、そんな事々は甘受しよう。不細工なのもこの際目をつぶろう。

しかし、だ。以下の要素は本当に酷い。運転装置と、安全に対する配慮についてだ。

まずステアリング。パワーステアリングが軽すぎて、ゲームセンターでゲームでもやっているようだ。車速感応式でないのはまあ百歩譲ってしょうがないとして、ステアリングを切る量とタイヤの切れ角の感触が連動していない。これを安楽でいいと思う人がいるからそうなっているのかもしれないが、操作感のなさがとても危険だ。

次にブレーキ。ブワブワで、スポンジでも挟んでいるよう。制動感がまるでない。カローラフィールダーのブレーキはグジュっと沈み込む不快な感覚で、しかもそれから先しっかり止めようとしても滑るような感触がして、とても危ない。反対にDS4は、注意していないといわゆるカックンブレーキになってしまうほど制動力があり、かつ踏みしろがなく、それもまた慣れを要するもので、人によってはNGポイントになり得るが。

そして夜になると、カローラフィールダーのヘッドライトは輝度が足りなくてぼんやりしている。ルームミラーに防眩機能はない。

代車のカローラフィールダーはトルコンAT。シフトレバーは今時スタッガード式だが(この代車は先代型だが、同年代の外国他車はもう既にポジション移動が確実なシフトレバーやスイッチを採用している)、弱い操作力でもカタカタと、いとも簡単に他のポジションに移動してしまって、スタッガードの段差を設けている意味がない。車庫入れの時にはDからRに入れようとして、その先のPに入ってしまうこと度々。

対してDS4 EGSのシフトレバー。小ぶりでアクションは直線型だが、操作感は確実で、各ポジションでしっかり止まる。
対してDS4 EGSのシフトレバー。小ぶりでアクションは直線型だが、操作感は確実で、各ポジションでしっかり止まる。

ちなみにDS4のEGSはポジションが上からR、N、A、M(A=Auto、M=Manual Mポジション時はパドルでシフト操作する)。RにはNから移動する時、シフトノブを上に引き上げるようにしないと入らないように設計されている。

そのくせ、カローラフィールダーのナビはとてもとてもお節介だ。一日の始めにエンジンスタートすると、「今日は◯月✕日△曜日です」とアナウンス。一度信号待ちで先頭で止まっていてもうじき青信号だという時に、後ろから速度を落とさず接近してきたバイクがいて、追突の危険を感じ、青になってからアクセルを深く踏み込んで発進させると、「急発進です。安全運転を心がけましょう」と。

う・る・さ・い・!!!!!!!

後に設定でこれらをオフにしたが、こういう機能を搭載する前に、やることがあるだろうが、と。そのくせ、バックカメラは搭載されていないのだ。(グレードやオプションによるのだろうが)

トヨタがこれでよしとして車を作っているのなら、守銭奴で、不誠実で、人の生命身体を危険に晒す極悪企業だ。車に装備すべき性能や装備の勘所を完全に間違えている。
自動運転はまだ先の話だ。トヨタは人が自動車を操作し、道路状況を感じ取りながら走るためには何が必要かが、まるで分かっていない。高級車ではちゃんとやっています、というだろうか? だからダメなのだ。安全の基礎となる確実な操舵性は、安かろうと高かろうと、すべての車に提供されなければならない。

そんな危険をも感じる車だったから、積極的に車で出かけようという気にはとてもじゃないけれどもなれず、数回運転してDS4の戻りとなった。

結局リアスカートにも傷があり、該当部分交換となった。
結局リアスカートにも傷があり、該当部分交換となった。

修理箇所がきれいになっていてホッとしたのはもちろんだが、何より、戻ってきた車を車庫に入れようとして、いかに設計姿勢が違うのかを思い知った。車格云々ではない。人に車を操作させるために、車がドライバーに何を伝えなければならないかという設計姿勢が違うのだ。
コンパクトカーであるC3をショールームで触った時にもそれは感じられた。フランスではC3といえば極々普通の大衆車である。しかし、車の基本がちゃんとしているのだ。ドイツ車に比べると緩いと言われるフランス車でも、である。

本当に、トヨタには車をもっと真面目に考えてほしい。普及車であればあるほど。「おもてなし」と言いながら物事の本質を見失った枝葉末節にこだわり、「木を見て森を見ず」に陥っている日本社会の投影になってほしくない。逆に、車からそれを変えていってほしいと痛切に思う。

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