相も変わらずシャンパンだが、好きなものは好き、このウェブスペースも個人的な場所だし、好きに展開させてもらう。(笑)松も明けて、放っておくと忘却の彼方に流れてしまうので、シャンパンの記録をつけておく。
クリスマスにはうちはさして思い入れがなく、シャンパンを飲む位が通例。今年はこれを選択。
Bruno Pillard Brut Millésimé 2004 Assamblage(ブリューノ・パイヤール ブリュット・ミレジメ2004 アッサンブラージュ)はPBのアッサンブラージュ技術が凝縮された1本とのこと。仕込みから8年、デゴルジュマン(澱抜き)後更に最低1年寝かされて出荷される。ドサージュ(澱抜き後のリキュールによる補糖)は近年の少なめ傾向に則り、5g/l。セパージュ(使用されるぶどう品種の比率)はシャルドネ48%、ピノ・ノワール52%。
きりっとした品の良い酸、柑橘類の香り、わずかにタイムのようなドライハーブなどが漂う。発酵香は予想より少なく、色も淡い。
よく丸められていて、上質な1本。ただし、2人ともより複雑性や、ヴィンテージから来る熟成の深みを予想していたので、正直、文句なく旨い、という感じではなく、理解の1クッションを経て味わいを理解した感じ。
さて、そしてシャンパンパーティーを開いて、迎えた大晦日。犬仲間のお友達からいただいた八ツ頭を焚き、あとはおせちを買って、年越しそばや雑煮の準備とともに、一年の〆のシャンパンを飲む時のチーズ類なども用意。夕方から飲むことにする。
Veuve Clicquot Ponsardin Cuvée Saint-Pétersbourg Brut(ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン キュヴェ・サン・ペテルスブルク ブリュット)は、イエローラベルをベースにさらに24ヶ月寝かせたもの。ロシア向け商品であると同時に、空港の免税品店でも手に入るようだ。サン・ペテルスブルクはもちろんサンクトペテルブルグのこと。ヴーヴ・クリコがロシア皇帝に愛され、躍進する鍵となった場所の名が冠されている訳だ。
これは素直に良かった。膨らみも丸みもあるし、合わせる食べ物を嫌わない。そして、余韻が長く、良い香りが自分の中からするのが感じられた。パーティーの時に開けたイエローラベルのマグナムが、久しぶりにヴーヴ・クリコもいいなと思わせたし、これと合わせてヴーヴ・クリコを再評価する気になった。
夕方にこれを飲んで一眠りし、夜には夜でもう1本。2人ともそう酒に強い訳ではないが、味が好きなので、寝て休んで時間を置いてからというこういう飲み方ができる機会は貴重。
行く年に思いを馳せつつ、静かに飲んで今年を迎えた。
さすがに飲み過ぎのこのシークエンス、1月1日はうちでは飲まず。といってもじょにおの実家の集まりで、モエ・エ・シャンドンその他などは少し口をつけた。うちでの年明け1本目は2日になって開けたこれ。
Inflorescence La Parcelle Blanc de Noirs Aube Brut(アンフロレッサンス ラ・パーセル ブラン・ド・ノワール・オーブ ブリュット)という長い名前のこれは、話題の作り手セドリック・ブシャールの手になる単一畑のもの。ミレジメ(単一年)の表記はないが、2003年。ピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワール。デゴルジュマンは2010年4月。
年数も経ち、ブラン・ド・ノワールなのでパワフルさを予想して開けたところ、意外にあっさりしていた。色もブラン・ド・ノワール特有の、わずかにオレンジに振れたゴールドなのかと思いきや、さらっとした色。
白い花や柑橘類、マカデミアナッツ、パンデピスを感じ、上質で、丁寧に作られているというのは一口飲めば分かる。が、やはり最近の流行りである極小のドサージュのせいか、ボリューム感が今一歩。
これはこれでアリなのだろうが、我々の好みには今ひとつだった。これはこれでInflorescenceの中では良い部類らしいのだが、やはりセドリック・ブシャールの真髄を感じるなら上級シリーズのローズ・ド・ジャンヌを試してみるべきだろうか。
翌日には今度は親しみやすいシャンパンを。
これはフランス国内でほとんど消費されてしまうもののようだ。たまたま手に入ったので飲んでみたが、ちょっと一杯ほしいな、という時に飲むと良い印象。やや野暮ったいので、飲むならキュッと冷やした方がいい。でも、これはこれであり。麗々しく飲むのだけがシャンパンではない、こうしたものもあって然るべき
とまあ、着実にセラーのストックを減らした年末年始であった。飲み過ぎ注意。