‘先週47歳になった。本人年齢の自覚が全くないのだが、数字で見るとびっくりだ。数字自体にびっくりというよりも、自分が思い描く、成熟したその年齢なりの落ち着きやら、仕事で某かの形がなされているべきであることやらに、遠く及んでいないことに対してびっくりというべきか。
しかしまあともかく、ここまで生きながらえていることについてはめでたいと言うべきだろうし、それどころか毎日幸せに暮らしていることは、とても幸運なこと。何回目になるだろうか、今年もじょにおに祝ってもらって、フレンチレストランで食事をしてきた。
レストランのレビューは上記のリンクを参照してもらうとして、いつもながらにここから先はシャンパンのレビュー。
この日飲んだのはPierre Moncuit Grand Cru Blanc de Blancs Brut Non Dosé Millésimé 2005(ピエール・モンキュイ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン ブリュット ミレジメ 2005)。
開栓直後の香りはブランデーやマールのような香りが強く、口を引き締めるミネラルと酸との味わいが少し乖離しているように感じられたが、温度を上げてもらい、グラスを取り替えた後半では味と香りが調和してきた。しっかりした佇まいの香味を持つシャンパンなので、この日のコースはジビエを堪能するコースだったが、ジビエとも渡り合えた1本。ただ、じょにおにとってはそう好みでもなかったようだが…。
この食事をする前、食事が済んだら完全紹介制のシャンパンバーに行って飲み直すかとも言っていたのだが、かなりのボリュームの食事でじょにおがお腹いっぱいになり、そのまま帰宅した。
実はうちにも誕生日の1本をストックしておいたので(笑)、それは昨日開けた。今度はじょにおの好みにも合いますようにと願いつつ。
それがこれ。
Pol Roger Cuvée Sir Winston Churchill Brut Vintage 2000(ポル・ロジェ キュヴェ・サー・ウィンストン・チャーチル ブリュット ヴィンテージ2000)は、グランメゾンPol Rogerのトップキュヴェとして有名。最新のヴィンテージは2002が出たようだ。PRを愛飲し、メゾンとの付き合いも深かったウィンストン・チャーチルの没後10年に、トップキュヴェの名前がこれになったのだとか。イギリスの名宰相だったチャーチルだが、PRは王室にも覚えめでたいようで、写真に見えるマークのとおり、イギリス王室御用達になっている。
もちろんトップキュヴェの定石どおり、グラン・クリュの厳選されたぶどうを用いて手間暇かけて作られる。ルミアージュ(発酵中に生じる澱を集めるための動瓶)も手回し、10年の熟成の後出されるとか。厳密なセパージュ(使用されるぶどう品種の比率)はファミリー秘伝とのことで非公開。ピノ・ノワールとシャルドネから成るとのことだが。ドサージュもデータがない。
開栓して放たれる芳香は最初から良い予感。グラスに注ぐとかなり濃い黄金色なのは、年月を経た証。エッジにはほんの僅かに緑色に振れた色が感じられて、そこはシャルドネのニュアンス。白い花、ブリオッシュ、蜂蜜、ドライフルーツの香味が感じられるが、意外に最初は控えめ。しかし飲んだ後の余韻はとても長い。
泡は細かく上品。エキス分の濃い液体の中をゆらゆらと立ちのぼり、表面でたゆたっては消える。豊かで奥行きのある味なのに、尖ったところがどこもなく、その徹底した破綻のなさはトップキュヴェのフィネスの体現としてふさわしいもの。
時間が経つに連れて、深さを増してくる。アーモンドや森の中を思わせる香りに、飲み終わりに感じる極々ほのかな苦味。
この1本はじょにおの好みにパーフェクトにマッチしたようだ。久しぶりに出会った気がする、とはじょにおの弁。
じょにおが高評価をつけるのは、じょにおの誕生日にレストランで飲んだLaurent-Perrier Grand Siècle以来。その時の日記を読み返したら、やはりじょにおの好みを気にしていて、何だか面白い。
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さて、こうして誕生日には贅沢をさせてもらった。プレゼントには財布をもらった。革小物は質感を揃えた物が良いので、同じ素材と色のキーケースも。メーカーが分かると最近はすぐ値段がバレるので(笑)写真は略すが、良い物を買ってもらって贅沢至極。祝ってもらったのに相応しい人間になって、じょにおにも報いねば。
他にも友人たちから様々にメッセージをもらい、わざわざメッセージを手書きにして色紙にしたため、送ってもらったりもした。何ともありがたい。誕生日を祝ってもらえると、今まで逆境も多かったのを乗り越えて今まで生きてきてよかったなと思える。皆さん、本当にありがとう。