Cuvée Perle d’Ayala 底力はボトルの底の方にある


土曜日の夜、出かけたい気分もあったが行くあてもなく外出せず。録画してあった映画などを徒然に観ていながら時間を持て余し気味。今日日曜日はじょにおも休みなので、それならば飲もうかと、これを取り出した。

Ayala Cuvée Perle d'Ayala 2002
Ayala Cuvée Perle d’Ayala 2002

Ayala Cuvée Perle d’Ayala 2002(アヤラ キュヴェ・ペルル・ダヤラ 2002)は、「アヤラの真珠」と名のあるとおり、名門メゾンAyalaが誇りを持って送り出すトップ・キュヴェ。夏休みに飲もうと思っていながら、飲みそびれてその後は仕事だの夏風邪だのと飲む機会を逸していて、昨日飲むことにした。

実は前日には、DeutzのDemi Secを飲んでいる。珍しくじょにおが飲みたい気分と言っていたので、アイスワインでも飲もうというのをDeutzに転換させて飲んだのだが。(笑)

Deutz Demi Secはバニラ風味のクリームチーズにサマープディングのジャムを乗せたカナッペと。
Deutz Demi Secはバニラ風味のクリームチーズにサマープディングのジャムを乗せたカナッペと。

さて、2日続けてシャンパーニュとはまあ贅沢な、と思いつつ、話はAyalaに戻る。

名門メゾンでありながら、Ayalaはあまり一般的には耳にしないかもしれない。「シャンパーニュのオートクチュール」と呼ばれる手の込んだ少量生産のシャンパーニュメゾンで、2005年からはボランジェの傘下になったのだとか。これは2002年だから、ボランジェの資本が入る前のミレジメ(ビンテージ)だが、5年以上熟成を経たものだから、品質コントロールにはボランジェの影響があるかもしれない。さてどんなものかと開栓。

注意して開けたつもりだが、勢い良く「ポンッ」と抜いてしまった。中身は溢れ出なかったが。コルクを見ると、細いタイプ?と見えた。が、どうやら伸縮性の大きな物だったようで、後では膨らんでボトルに埋没する部分は台形を取り戻していた。

グラスに注ぐと泡立ちは上品な様子。1本グラスの底から泡がすっと立ち上る様子は、端正な面持ち。色は淡いゴールドで、10年間の時を感じる。

エレガントな佇まい。
エレガントな佇まい。

最初は、軽やかな味わいだった。様々な花の香りと熟成から来るブリオッシュのような香り、そして整った酸が組み合わさって、トップ・キュヴェにしてはこんなものかな、と内心思いながら、しかし整った味わいにいわゆるフィネスを感じるのはさすが、とじょにおと言っていた。香りは最初から豊かに感じられるので、「ああ、このシャンパーニュは(味そのものよりも)香りのシャンパーニュだね」などと言いながら。トリュフ・ブリー、コンテ(18ヶ月熟成)、フルムダンベールの3種を用意したチーズとも特に喧嘩をすることもなさそうな、可憐で軽やかな風味だと思っていた。

3種のチーズとPerle d'Ayala。
3種のチーズとPerle d’Ayala。

ちなみにこのチーズは週の前半にブルゴーニュの赤ワインを飲むために買ってきた物の残り。「たまたま」あった物で、(笑)このために用意した物ではない。

さて、それはそうと、最初の印象にあった「トップ・キュヴェにしてはこんなものかな」は、見事にこの後裏切られる。中盤に、深い香りが立ち上ってきて、「おや?」とその変化に期待の気持ちがもたげてきた。軽やかな花の香りというよりは、薔薇のような蜜のような香りが顔を覗かせる。そこからは、どんどん開いていって、セクシーでダイナミックな味わいが展開されていって驚いた。これだからシャンパーニュは面白い。味わいもしっかりした骨格を感じ、液体もボトルの底が近くなった頃には百花繚乱の面持ち。チーズとも喧嘩しないレベルどころか、マリアージュが味わいの幅を広げてくれて、喜びを増幅させる。何ともぐいぐい来るこの後半の味わいに、名門の底力はここにあったか、と思い知らされたのだ。
こちらのセパージュ(使用されるぶどう品種の比率)はシャルドネ8割、ピノ・ノワール2割だが、ピノ・ノワールの比率の高いBollinger La Grande Année 2002の男性的な味わいに堂々渡り合うダイナミックさ。これならボランジェ傘下にあろうとも、アヤラの存在意義もあろうというもの。

これで夏用に用意したシャンパーニュはおしまい。まだプールも開いているこの週末だが、秋めいてきてもいる。今年の夏は何だか夏を満喫するようなこともなかったが、これを飲んで今年の夏に別れを告げる決心ができた。