Christopher Crossライブ 美声健在


Christopher Crossが来日していてライブがあったので、一昨日の土曜日に行ってきた。前にも行ったことがあるのだが、2、3年前だったか。前回じょにおと行って以来音楽が気に入ったらしく、今回も行きたいとのことで、先々月に予約しておいた。会場は以前と同じ、ビルボードライブ東京。

開演直前、まだ撮影が許されている時に。
開演直前、まだ撮影が許されている時に。

写真だと距離感がよく分からないかもしれないが、着いたのはステージ正面の3つ目のテーブルで、Christopher Crossとはほんの5、6メートルといった感じの距離だ。去年出た13年ぶりのアルバム”Doctor Faith”のアルバムジャケットが、キックドラム正面の図柄としてあしらわれていた。

食事を摂って行かず、ディナーコースがあるので食べながら観るつもりで行って、テーブルについたのが開演前7、8分前。時間が迫っているのでシャンパーニュとディナーコースをささっと頼む。
シャンパーニュが運ばれてきてグラスに注がれ、オードブルがサーブされたところで開幕。今回のバンドメンバーは、前回のメンバーとは変わっていた。落ち着いた年齢の人達で、安定した職人的演奏ができる人たちなのだろうなと思う。果たして、音が出るとその通り。ドラムスの音が予想外にクリスピーだったが、全体に出すぎず沈まず、まとまった音がする。ほどなく、クリストファー・クロスが登場。前回よりやや恰幅が良くなった感じだ。そのままバンドメンバー紹介を最初に済ませて、”Doctor Faith”に収録の曲から始まった。

最初、PAでマイクの音量が抑えられていたのか、ちょっとボーカルが捉えにくいなと思わせたが、続いていくうちにそのあたりは解消。声の不調ではなかったので安心する。相変わらずの天下の美声は健在。”Doctor Faith”レコーディングの時より調子がいいんじゃないかと思ったくらいだ。

途中、キーボードの女性の曲もやりながらステージは進行し、ヒット曲が流れると会場も湧く。”Sailing”では本当に洋上漂うような別世界にいざなってくれる。名曲”Think of Laura”はやらず。前回では確か、”Arthur’s Theme (Best That You Can Do)”(邦題「ニューヨークシティー・セレナーデ」。本人もそう紹介していた)の時には、ステージバックのカーテンが開いて外の夜景を見せる演出があったが、今回は演奏するもその演出はなし。
ステージ運びは依然として淡々としていた。以前観てそれには慣れていたので、そんなもんなんだろうなと思うが、それでも後半、スタンディングで拍手をする最前席の男性にギターのピックをプレゼントして握手したりしていたから、きっとそういう人なりのノリというのがあるのだろう。あの顔と体が出てくるのが未だ信じられないあの声を聴きながら、音階のかっちりした(まるでキーボードで弾いているかのように一つ一つの音が明確な)ギターソロを披露するクリストファー・クロスを見ていると、バンドメンバーだけでなく、クリストファー・クロス自身が職人的音楽の人なのだろうなとも思った。ショーアップはされていないが、しかし職人的ゆえに、とても安定した上質な音楽を楽しむことができた。

余談その1:
今回はコースディナーを食べながらのライブ鑑賞だったが、BGMとして楽しむのでなく、しっかりライブを観ようというこういうケースでは、食事を口に運ぶタイミングが難しかった。アーティストに間近くて一挙手一投足が見える距離だったので、曲と曲の合間に慌てて食べたり。肉だのパンだのならまだしも、クリストファー・クロスに見られながらパスタを食べることの、何と困難なことか!(笑)

余談その2:
今回のシャンパーニュはBollinger Special Cuvée(ボランジェ スペシャル・キュヴェ)。スタンダードなリストではランソンが押しのようでLanson Black Labelを勧められたが、あれはそんなに面白くもないので却下。別用意のリストを持ってきてもらって検討した結果、ラ・グランダネはこの間飲んだし、R.D.を飲むほどの機会ではないし、食事と合わせやすいだろうラインとしてこれを選んだ。
Bollinger Special Cuvéeだが、ノンヴィンテージでも味わいがあって、芯がしっかりしている印象。香りもふわりと豊か。発酵香や花のような香り、はちみつのような香りもして、セクシー。最後までバランスを失わないのもさすがで、さすがにラ・グランダネには豊かさで一歩譲るものの、ノン・ヴィンテージのスタンダードシャンパーニュとしては申し分なく、名門メゾンの面目躍如といった感じの1本だった。