食の絵日記 北海道+シャンパーニュ


ずっと書き忘れていたが、レストランでの食事の時のシャンパーニュの印象の他、持ち帰ってきたものやらを防備録として。

やさしいシャンパーニュ Beaumont des Crayèrs

ミクニサッポロでの食事の時に選んだのは、Beaumont des Crayères Fleur de Rosé Brut Millesime 2004 (ボーモン・デ・クレイエール フルール・ド・ロゼ ブリュットミレジメ2004 って長い)。化学農薬を使用しないで育てたぶどうを使い、圧搾機を使わずぶどうの重さのみで流れ出たフリーランジュースから作られるのだとか。ラベルには薔薇の花があしらわれていて、上品なロゼの色も手伝って外観は女性的な印象。冷やされて出てきた最初の状態では固く閉じていて、味わいを感じにくかった。が、時間が経つに従ってベリーなどの香りが感じられ、食事に華を添えるやさしい寄り添い方がよかった。泡立ちはきめ細やかで細く立ち上る感じ。

ミュズレにはバラの花がモチーフにあしらわれている。(写真はないがボトルのラベルにも)
ミュズレにはバラの花がモチーフにあしらわれている。(写真はないがボトルのラベルにも)

乳製品の恵み 発酵バターとチーズケーキ

北海道といえば乳製品も外せない。発酵バターと、先に日記で書いた小樽のルタオのチーズケーキを自宅で。まず、発酵バターは赤井川村の山中牧場というところのもの。普通のバターよりもあぶらあぶらしていなくて、風味がいい。200gで1100円超と、バターとしてはけっこういいお値段なのだが、食べるたびにいい気分にさせてくれるので、これは買って正解。

バターは缶入り。
バターは缶入り。

そしてルタオのフロマージュドゥーブル。冷凍で配送されてきて、食べる時には冷蔵庫で5~8時間か、室温で2、3時間かけて解凍して食べる。2種類のチーズを使って、上層は軽く、下層はこっくりとした味わいになっている。これも乳製品好き・チーズ好きにはたまらない味で、正解。

見た目は軽そうだが、食べごたえあり。
見た目は軽そうだが、食べごたえあり。

これはおいしかったので、また取り寄せして食べてもいいかな。

気鋭のシャンパーニュUlysse Collin

さて、今月の1本である。近年注目著しい作り手のものという評判を聞き、何ヶ月か前に買ってきておいた。シャンパーニュの作り手にはそういうスターが何人かいて、高評価を得ていて(当然値段も高い)作り手にジャック・セロスという人がいるのだが、そのジャック・セロスの弟子という経歴で知られるのが、このシャンパーニュの作り手のオリビエ・コランという人なんだとか。

Ulysse Collin Blanc de Blancs Extra Brut
Ulysse Collin Blanc de Blancs Extra Brut

自然有機農法(いくつか方法があるが、いわゆるビオディナミ)で作られ、澱抜き(デゴルジュマン)後の補糖はゼロまたはごくわずかという、最近の潮流っぽい極辛口のこれ。ヴィンテージとは表示されていないが、単一年のぶどうからのみ作られるので実質はヴィンテージなんだとか。ボトルの裏にはロットナンバーが記され、デゴルジュマンの年月日も書かれている。玄人向けの印象だが、はたしてどうなんだろうか。

あまり喧嘩しないように、穏やかな種類のチーズとドライフルーツを用意。
あまり喧嘩しないように、穏やかな種類のチーズとドライフルーツを用意。

飲んでみると、結論から言うと素晴らしかった。開栓してコルクの裏を見ると、Grand Vinの文字。普通なら表に誇らしく書きそうなものだが、何とも奥ゆかしい。味はというと、最初は控えめな花やシシリアンレモンの香りに、ドライアプリコットのような感じがするが、飲み進めるとベリー系、そして蘭の花が咲き出してくるような印象。骨格にはしっかりしたものがあるのだが、シャルドネ100%のブラン・ド・ブランだからか、重たすぎず、飲む人に挑戦的なところも見せず。酸も、すっきりはしているが、きつくはない。

あまり喧嘩しないように、穏やかな種類のチーズとドライフルーツを用意。
あまり喧嘩しないように、穏やかな種類のチーズとドライフルーツを用意。
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 泡は静かに立ちのぼる。
泡は静かに立ちのぼる。

最後には本当に花園にいるような気分にさせてくれた。そして、酔い心地も穏やかで上品。Ulysse Collinはとかく師匠がジャックセロス、ジャックセロスの愛弟子の、と、そういった形容詞がついて回っているが、師匠が高名な人の作ったシャンパーニュだから、という斜め読みではもったいない。これ単体で、見事に評価を得るだけの優れたシャンパーニュだと思う。

モダンなラベルと同様、ミュズレも洗練された印象で、白。
モダンなラベルと同様、ミュズレも洗練された印象で、白。

見かけたら1本購入しておくのを勧める。今後、きっともっと入手困難になって、値段も高騰するだろう。それにしても今月の1本は幸福な味でほっとした。(笑)