ブックレビュー 長塚 節

土 (★★★★☆ 星4つ) 表紙には「娘が年頃になって帝劇がどうのと言い出したらこれを読ませてやりたい」云々という趣旨の夏目漱石の言葉がある。農民文学の代表者である長塚 節の代表作だけに、中身がつまっていて、もう1世紀ほ…

ブックレビュー『最後の晩餐』

開高 健(著) (★★★★★ 星5つ) 開高健は昔から何となく気になってはいたものの、読んでいなくて、今回手を伸ばしたのは、旅行に出かける時に携行する本を探していて、旅行中は贅沢三昧することが分かっていたので、食通随想文…

ブックレビュー 村田喜代子

八つの小鍋 村田喜代子傑作短篇集 (★★★★★ 星5つ) 特段、恣意的にドラマティックな設定や展開を見せるわけではない。設定は日常に徹している。少々幻想的なことを実体験のように語る入院患者などが出てくる話もあったりするが…

ブックレビュー 村上春樹

1Q84 Book1 〈4月‐6月〉 前編 (★★☆☆☆ 星2つ) 最近は売上を稼ぐためか、まとめて書けなくなった作家が多くなったのか、その両方かは知らないが、本が上下巻セットで出たり、上中下の三巻セットになっていたりす…

ブックレビュー 向田邦子

きんぎょの夢 (★★★★★ 星5つ) 昭和ドラマと聞いて人が思い浮かべるような人間模様が詰まった短篇集。しかし、俗であるには違いないのに、どこか品格を残していて、俗悪に堕ちていないのはさすがに向田邦子。人間の機微を深く掘…

ブックレビュー 盛田隆二

サウダージ (☆☆☆☆☆ 星ゼロ) 別の作家の3部作を読んでいて、それが長大だったので、上巻まで読んだ後、箸休め的にこれを読んだ。 こちらは人物描写の浅さ、世界の狭さ、文章の味わいのなさにゲンナリ。1992年に出されたら…

ブックレビュー 宮部みゆき

理由 (☆☆☆☆☆ 星ゼロ) 知性のある人にとっては実につまらないだろう。文体も美しくなく、筆者が表に出すぎたところ、選ぶ単語の醜悪さ・俗悪さ、法学の知識が多少ともあれば退屈でしょうがないゴタクを冗長な文章で並べ立てると…

ブックレビュー 三島由紀夫

太陽と鉄 (★★★☆☆ 星3つ) 三島の本は久しぶりに読んだが、三島のどこが複雑なのか、俺には分からない。本人さえ自分のことを複雑だとして売りたいようだが、とても分かりやすい。これを読めば三島が分かりやすいということが分…