音楽レビュー Lulu


Making Life Rhyme (2015)


(★★★★★ 星5つ)



Luluといえば俺的には”Independence”。ハウスリミックスが良くクラブでかかっていた。”Independence”のリリースは1993年と、もう20余年を経過していて、ずいぶん時間が経過したなと思うが、Luluのファーストアルバム”Something To Shout About”のリリースはそれより遥か前の1965年 (!)。俺が1967年生まれで、その前だ。恐るべきキャリアである。

そしてその年齢に相応しい揺るぎなき自分自身を身につけていて、このアルバム”Making Life Rhyme”では、その余裕がジャケット写真からも感じられる。実にナチュラルというか肩の力の抜けた感じで、自分のキャリアの威光を示そうとするかのような作為がなく、MadonnaCherのようなPhotoshopでほぼCGのようなことをする気もない自然体。

肝心の音はというと、これがまた良い。正統派のロック・ポップだが、完全にLuluのボーカルがトラックをリードしている。言いたいことが実に明快に伝わってくるストレートさが何とも心地よい。声の枯れ具合も良く、枯れてはいるがヨレてはいない。Luluは昔からそうボイスレンジを幅広く使う人ではないのだが、どこをどう聴いてもLuluで、高音を張り上げるだけが女性ボーカルの能ではないと教えてくれる。

普段ハウスR&B/ソウルを聴くことの多い俺だが、これはジャンルを超えて聴いてほしいと推せる。(2015/4/24 記)