音楽レビュー Annie Lennox


Nostalgia (2014)


(★★★★☆ 星4つ)

クリスマスアルバムを除くと7年ぶりのスタジオアルバム。個人的にはオリジナルアルバムを期待していて長く待っていたのだが、カバーアルバムだった。Annie Lennoxも年を取り、それをそのまま写しだしたジャケット写真や、カバーされる曲選に、時の流れを感じる。

まさかALが”Summertime”や”Strange Fruit”をやるとは思わなかったが、哀愁を帯びた曲とALの声とはよくマッチしている。これを聴くと、ALはシンガーなのだなあとあらためて思う。声で聴き手をいっきに自分の世界に引き込む表現がすごい。

アルバムを出さない間、時々YouTubeなどで見かけたライブパフォーマンスを見ていて、少し声に衰えがあるのかと危惧されたが、このアルバムではボイスレンジをうまく選択して、危うげない仕上がり。しかし、やはりオリジナルアルバムが聴きたい。このところ気に入りのシンガーやシンガーソングライターが皆カバーアルバムばかり出していて、音楽のクリエイションに限界があるのかと思わせることが多いからだ。(2014/10/23 記)

Songs Of Mass Destruction (2007)


(★★★★★ 星5つ)

深く心の底へ沈みこむような難解な詩、Eurythmics時代を思わせるエレクトロシーケンス音、ロック然としたギターなど、 まごう方なきAnnie Lennoxの世界。情念を感じさせる。

サウンドスタイルとしてはソロアルバムを初めて出した頃からあまり変わっていないようにも思えるが、それはもうその時点にして彼女のサウンドスタイルが確立されていたからだろう。決してBGMにはできないような力を備えた音楽。