音楽レビュー Toni Braxton & Babyface


Toni Braxtonのソロアルバムについてはこちらのページを参照

Love, Marriage‎ & Divorce (2014)


(★★★★☆ 星4つ)

この2人がデュエットするというと、Toni Braxtonの実質的デビュー曲である”Give U My Heart”を思い出す人も多いだろう。共に90年代初頭に大成功を収めたものの、その後紆余曲折あった2人、ここはタッグを組んで巻き返しというところだろうか。

仕上がりはいい。特にこの2人の黄金時代を知る人にとって馴染める音作りになっている。作曲はどんなアーティストをも食ってしまうBabyface丸抱えだが、シックでセクシーなToni Braxtonの声は曲に負けず、あるいはBabyfaceの曲調に楽に乗っかったうえで存分に魅力を発揮している。

デジタル配信時代になってからはアルバムの曲順とか、アルバムを通じてのストーリーだとかいうことは意義が希薄になっているが、このアルバムにははっきりとしたストーリーがあり、それに従って曲が並べられているのも面白い。それぞれ単独でボーカルをもつ曲も入っていて、ストーリーに幅をもたせている。

が、まとまり過ぎというか、どこか何かが足りない。それは果敢な攻めの姿勢だろうか、安直なコード進行の曲のあり方も気にかからなないではない。それとも現代らしさだろうか。2人が華々しかった頃から既に20年も経過していると当然サウンドスタイルは変わっているが、あまりにBabyfaceであり、あまりにToni Braxtonであって、「らしさ」と「今」とのせめぎあいというかジレンマがある。しかしここはこの2人がまだ音楽を届けてくれることを喜ぼう。(2014/2/15 記)