音楽レビュー Onita Boone


Onita (2012)


(★★★☆☆ 星3つ)

Onita Booneはゴスペル出身、ブロードウェイやオフブロードウェイで活躍した後、1997年にドイツに移ったのだとか。

このアルバムはセルフタイトルドアルバムで、1作目のようだ。ジャケット写真から想像するにおしゃれ系かと思いきや、粘っこい歌い方をする。しかしもともとそんなに野太い声質ではないようで、力み加減がパワフルさを演出しているように思え、D’atra Hicksのようだなと思ったら、奇しくもOnita BooneはD’atra Hicksと同じくミュージカル”Mama I Want To Sing”に出ていたのだとか。

そう現代的な音を採り入れてはおらず、あくまで歌で勝負という感じなのだが、ちょっとその泥臭さは自分の好みからは外れる。Oleta AdamsがBrenda Russelのカバーをしてグラミーにノミネートされた名曲”Get Here”のカバーや、Chaka Khanの”Ain’t Nobody”のカバーも収録されているが、どちらも今ひとつ心に入ってこない。前者ではどうしてもOleata Adamsの深さが恋しくなり、音が整理されていないこともあって浅く感じられてしまい、後者では圧倒的なChakaのあれか、と思うと食い足りない。そして、アルバムの曲構成にポリシーが感じられず、歌は上手いしチャラチャラした曲作りでないところはいいのに残念と思ってしまった一枚。歌は上手いので星3つ。 (2012/8/28 記)