Livin’ On A High Note (2016)
(★★★☆☆ 星3つ)
下記のアルバム”You Are Not Alone”の次にはゴスペルアルバムが1枚出ている。このアルバム”Livin’ On A High Note”はポピュラーアルバムとしては6年ぶりの復帰で、本人としても復帰という意味合いが強いのだろう、1曲目の”Take Us Back”ではバックグラウンドコーラスが”Mavis Staple is back”と歌う。
“You Are Not Alone”同様にカントリーブルース調の曲が並び、ああ、さすがにMavis Staplesも年を取ったなあと再認識。今年77歳にもなることを考えると、元気さやファンキーさを期待するのか酷かとも思う。アルバムが出るだけで御の字か。
Aretha Franklinなどは近年の作品に関して言うともうやめてくれ、ファンの夢を壊さないでくれと言いたい惨憺たる出来だが、それに比べるとだいぶいい。そう考えると、Mavisおばあちゃんからの現代のプレゼントとしてのこれは、素直に聴ける気がする。どうぞお元気でご活躍を、と思う(皮肉ではなく、素直に)。(2016/3/6 記)
You Are Not Alone (2010)
(★★☆☆☆ 星2つ)
Mavis Staplesというと、過去にはPrinceのプロデュースでアルバムを出していたり、ファンキーなスタイルだった。
が、このアルバムはあまりにもオールドスタイルでびっくり。まるで南部のリタイアしたおじいちゃんが食事するダイナーでBGMにかかっているような、あるいはそんな光景をアメリカンファンタジーとしてモチーフにするミスタードーナツでかかっているような音楽。
はっきり言えば、退屈。Chaka Khanの”Funk This”を聴いた時にも書いたが、こんな懐古趣味が一番残念だ。そこにクリエイティビティーが感じられない。Mavis Staplesの歌唱力に文句はないが、これを2010年の今やることの意義が分からない。アーティストは、疾走していなければならないと思う。このアルバムでは、逆走して足並みが止まってしまって思える。多分二度は聴かない。Mavis Staplesは大好きなアーティストであるだけに、残念感もひとしお。
The Voice (1993)
(★★★★★ 星5つ)
前作同様PrinceのレーベルPaisley Parkからのリリース。Prince色は若干だが穏やかになっている。このアルバムはThe Voiceと銘打つだけあって、円熟のボーカルを堪能できるが、大人しく収まっているわけではく、躍動感にあふれている。”Melody Cool”のスピード感、”A Man Called Jesus”のファンキーさは唯一無二。そしてラストソング”Positivity”もミッドテンポのファンクナンバーで、バラードで締めずにアルバムをまとめあげる粋な構成。本物のファンク、ソウル、R&Bアルバム。
Time Waits For No One (1989)
(★★★★★ 星5つ)
PrinceのレーベルPaisley Parkからのリリース。音はまるっきりPrinceなのだが、それでも自分の音楽になっているのが、Mavis Staplesのすごいところだ。むしろ、Princeの音を使って自分を表現している感じ。ファンキーさもたっぷり味わうことができ、”Jaguar”で吠えるMavis Staplesは必聴。最後のタイトルソングは胸に沁みいる。Princeの「泣きのギター」も聴くことができ、わずか8曲のアルバムだが、アルバムを聴き終えた頃には壮大な満足感が得られる。