音楽レビュー Leela James


Did It For Love (2017)


(★★★★☆ 星4つ)




ひたすらソウルミュージックの追求に邁進するLeela James。このところ良質な女性R&B/ソウルアルバムが少ないので、正面切っての歌勝負は貴重。

バックトラックはまたもや少々懐古的なスタイル。ソウルを追求するのにはそうしたスタイルでなければならないのか?それは必然なのか?という疑問はあるが、歌がきちんと聴けることには違いない。
絞り出すような声の出し方は相変わらずで、ちょっと一時期のJoss Stoneのような感じがする。デビューアルバムから12年もこれをやってきていると、最初はシミュレート具合が気になるなと思っていたが、やりたい音楽のスタンスが固まったきたように思われ、これはこれで良心的な音楽なのかとも思えるようになってきた。これからもこの路線で行くのかどうかが気になるところだが、様々に音楽を表現していってほしいものだ。(2017/4/4 記)

Fall For You (2014)


(★★★★☆ 星4つ)

このアルバムではLeela Jamesは懐古趣味から少し脱したようだ。前作がトリビュートアルバムだっただけに、オリジナルではそれよりも必然的に現代的になったということもできるが、音作りが時代に則したものになっているのはいいことだと思う。音楽をやっているのは今なのだから。

といっても重た目の歌い方はそのままで、ソウルやR&Bというよりもむしろブルース歌手といってもいいような感じなのだが、それでも前作に比べると繰り返し聴きたくなる感じがする。フリーソウル好きにも受けるかもしれない。歌唱力は文句なし。存分に歌いきっている感じが好感。(2014/8/23 記)

Loving You More… In The Spirit Of Etta James (2012)


(★★★☆☆ 星3つ)

長きに渡ってブルース界で活躍し、今年亡くなったEtta Jamesに捧げられたアルバム。Leela Jamesは伝統芸能をやりたいのか? 前作もカバー集だっただけに、どうもその懐古趣味が気になった。

確かに最近の若い(Leela Jamesは今年で29歳)歌手にはないパンチの効いたボーカルスタイルと強い喉で歌い様に文句はない。が、すっかり古典芸能のような世界に居続けるのは、ソウルを今の音楽界にアピールする方法としてどうなんだろうか、と思ってしまう。今の軽薄なメロディーのないスタイルに迎合しろというのではない。少し、古いことをシミュレートするところからどこかへ踏み出して欲しいのだ。その才能を活かして自分自身の音楽を創るということに。(2012/9/4 記)

My Soul (2010)


(★★★★☆ 星4つ)

ソウルのカバー集。カバー集と聞くと、「ああまたか」と残念に思うが、これはそんなに使い古された曲選でなく、かつ彼女の歌唱力が活きていて、なかなかいい。野太い声がいかにもソウルといった感じだ。

サウンド的にはほぼ原曲に忠実な感じで、打ち込み風になっていないのがまたいいのかもしれないが、懐古趣味に陥っているような感じではない。Phyllis Hymanの名曲”You Know How To Love Me”も入っている。この曲はLisa StansfieldやRobin Sなど、ジャンルをまたがっていろいろな人にカバーされているが、Leela Jamesはやや土臭い感じで、それが独特の味を出している。Leela Jamesが現在では数少ないソウル・シンガーなのだなと感じられる一枚。

Let’s Do It Again (2009)


(★★★★☆ 星4つ)

2005年にデビューしたLeela Jamesのセカンドアルバム。ソウルのカバーが収録されていて、この人は歌うことが好きなんだなと思わせる。そして上手くてついつい聴き惚れてしまう。土臭い感じがする歌い方は往年のソウルミュージックシンガーを思わせ、もはや伝統芸能に近いものを感じるが、単に古いスタイルを模したものでなく、自分の持ち味として消化されている。

もう少し現代っぽいものがほしいなとも思うが、↑に挙げた次作の”My Soul”でもスタイルは変わらず、これが彼女のやりたいことなのだろう。ど真ん中のソウルミュージックをやる人が少なくなった中、ソウルミュージックの正統後継者という感じの歌声を素直に楽しみたい。