音楽レビュー Karyn White


Gale & The Storm (Music From And Inspired By The Original Motion Picture) (2017)


(★★★★☆ 星4つ)




長い沈黙から2012年に復活アルバムを出して以降、ライブもやり、精力的に活動しているKaryn White。自主制作の映画のサントラを発表したが、これがいい。
映画”Gale & The Storm”は、Karyn White自らのレーベルで、彼女自身で企画演出されたもの。Eclipseという有名バンドのシンガーだったGale Stormが再起を図るというもので、Karynはバンドに所属していた訳ではないが、自身のキャリアとどこか重なる。

音は、ミッドテンポを中心としたオールドスクールのR&B/ソウル。Karyn White以外のアーティストが歌う曲もあるが、実質的にはKaryn White復活第二弾のアルバムといってよい。時代設定的に、音楽のグルーヴは一種懐古的にも聴こえるが、歌うスタイルでは今まであまり見られなかったソウルフルな歌い方にもチャンレンジしており、創造と挑戦をやめない姿勢が素晴らしい。

クリエイティブでパワフルなKaryn Whiteは、過去の存在ではなく、現在も注目すべき。(2018/3/24 記)

Carpe Diem (2012)

(★★★★☆ 星4つ)
なんと18年を経て、長らく待たれてきた復活アルバムがようやく出た。11曲入りだが最後の曲は最初の曲のアコースティックバージョンなので、実質10曲。最近のアルバムにしてはコンパクトな作りだ。

音はどちらかというとアコースティック寄り。ゴージャスな音作りを期待していたので少し残念に思ったが、誰がやっても同じに聞こえるような定型化したR&B的な音でなくてホッとしたのも事実。さすがに前のアルバムから18年も経つとボイスレンジは少し下げられている。
そしてCyndi Lauperの”True Colors”をカバーしているのだが、その中で時々わざを声をつぶすような、最近のChaka Khanがやるような歌い方が意外な感じだ。

しかし18年前以前の魅力は失われていない。もし、ずっと歌い続けていたら、その18年間にはどんな音楽をやっただろうかと想像したくなる。ともかくも、復活を喜びつつ、ライブがあるので楽しみに観てみたい。(2012年6月11日 記)

Make Him Do Right (1994)


(★★★★★ 星5つ)

デビューアルバム”Karyn White”がBabyfaceのプロデュース、次作”Ritual Of Love”がJimmy Jam & Terry Lewisのプロデュースときて、3作目はその両方の曲が入っていて、折衷といったところ。といっても聴いて目立つのは当時夫だったTerry Lewisの方の音よりもBabyfaceのカラー。タイトルソングもBabyfaceによるもの。

音がおとなしくなって市場の期待にそむく結果となったせいか、チャートではビルボードUSで最高99位とふるわなかった。しかし、おとなしくなった中にも味わいのある曲は揃っている。

Ritual Of Love (1991)


(★★★★★ 星5つ)

Babyfaceのプロデュースによるデビュー・アルバムの大成功を受けての次作は、この頃乗りに乗っていたJimmy Jam & Terry Lewisのプロデュース。サウンドはますます豪華かつきらびやかになって、同時期にやはりJam & Lewisのプロデュースにより大成功したAlexander O’neal, Cherrelle, Janet Jacksonの作品との共通性も見られるが、Karynならではのオリジナリティーは健在。せつなげなバラードも秀逸で、1枚を一挙に聴かせるパワーがある。Terry Lewisとはこのアルバムのリリースの翌年結婚しているが、数年後には離婚している。

Karyn White (1988)


殿堂入り作品

Karyn Whiteのデビューアルバム。Babyfaceのプロデュースによるものだが、デビューアルバムにしてKaryn Whiteのカラーがよく出ている。キャッチーなメロディーとややポップな声質が見事にマッチ。懐かしいニュージャックスウィングのリズムも心地よい”The Way You Love Me”、名バラード”Superwoman”など、名曲目白押し。Babyfaceとのデュエット”Love Saw It”は必聴。