音楽レビュー Fantasia

音楽レビュー Fantasia "The Definition Of..."(★★★★☆ 星4つ)
音楽レビュー Fantasia "The Definition Of..."(★★★★☆ 星4つ)

The Definition Of… (2016)


(★★★★☆ 星4つ)




前作でちょっと散漫なイメージで「まだ自分はこれというのが定まっていないように聞こえる」と書いたが、その作品から3年が経って出たこのアルバムは「Fantasiaの定義」と題した、「これぞ自分」という定義付け。さて、どれどれ、と聴いてみると、音楽のエッセンスを追求しようとする本質的な姿勢が見られるように感じる。

余計なこけおどしは一切なし。オーケストレーションもエレクトリックな音はあまり使われず、生を大事にしている。少しクラシックとも言えるような構成の曲もあるが、懐古趣味ではない。そして、前作でやや恣意的と感じられた発声は自然なものになり、彼女の潜在能力の高さが実力として顕在化した。”Ugly”のエッセンシャルで普遍的な音作りと後半のコーラスワークを伴った歌い上げは白眉。

これを聴いて感じるのは、R&Bも二極化してきているのではないかということ。即ち、EDM的であったり虚無的で短調なフレーズを繰り返すヒップホップスタイルのような、マーケティングに基づいた時代に擦り寄るものと、そうした姿勢に背を向けてより深く音楽を掘り下げて行こうとするものと。一時期、前者が席巻している様に本当にR&Bの未来を案じたものだが、最近は後者が盛り返してきて、正直なところほっとしている。Fantasiaには後者を牽引する者として、活躍を期待したいところだ。(2016/8/29 記)

Side Effects Of You (2013)


(★★★☆☆ 星3つ)

FantasiaはフルネームをFantasia Barrinoという。アメリカン・アイドルから出てきたんだとか。コケティッシュでちょっと癖のある声の持ち主で、最近のシンガーのスタイルとしては珍しい。新人かと思ったら、調べるとファーストアルバムの発表は2004年。今まで自分のアンテナにひっかからなかったが、この第4作目になるアルバムの滑り出しは好調で、スタートからビルボード2位とか。

この類のアーティストの売り出し手法として有名アーティストをフィーチャーするのが定石だが、そうした手法はKelly RowlandとMissy Elliotが”Without Me”という曲でフィーチャーされているくらいで、あとはラッパーが1人いる程度。どうやら独力で勝負する人のようで、曲作りにも名前を連ねている。

さて曲の印象だが、あれこれやっていてちょっと散漫。アルバムタイトル曲の”Side Effects Of You”なんかはなかなかいい。”Without Me”はまんまRowlandっぽい。ちょっとおしゃれ風サウンドがあるかと思うとスカスカの音のもあったりして、まだ自分はこれというのが定まっていないように聞こえる。何だかいろいろと惜しいな、と思いながら聴いていたのだが、過去の作品を聴くともっと印象が変わるのだろうか? なんともいえない感じだ。(2013/5/17 記)

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