音楽レビュー Avery*Sunshine


Twenty Sixty Four (2017)


(★★★★★ 星5つ)




3年ぶりにAvery*Sunshineのアルバムが届いた。どうやら名前には「*」が付くらしい。アルバムタイトルについては、ビルボードのインタビューに載っていたが、音楽パートナーのDanaと結婚するかどうかについて語っていたが、真意はあまり分からなかった(そこからアルバムタイトルになるほどか、と思ってしまった)。

音楽そのものだが、深み・洗練度を増している。幾分土臭さが消えたが、いわゆる黒っぽさ、ソウルフルなタッチは増している。そしてはっとさせられたのが、歌い方。経歴から何となく「ピアノが弾けて歌も上手い人」というイメージだったのだが、極めて卓越したシンガーとして、脱皮していたのだ。歌一本でやってきた人と言われても何ら遜色ないといえば、前アルバムでは遜色があったのかと思われ語弊だが、ソウルシンガーAvery*Sunshineの真の誕生といってもいいかもしれない出来。

曲も書けず、歌えず、意味もない音楽がR&Bにも多くなって久しく、聴いてがっかりのものに当たる機会も多いなか、これは聴いて正解。(2017/5/4 記)

The Sun Room (2014)


(★★★★★ 星5つ)

もともと活躍が見初められたのはキーボーディストとしてだったらしいが、着実なキャリアと実力の持ち主で、LedisiRachelle Ferrellの前座も務めた経験があり、Will Downingとの共演でも知られるAvery Sunshine。いわゆる黒っぽい音、そして大人の音楽が好きで、上に挙げた人達の音楽が好きなら、この人の音楽はうってつけ。アコースティックでソリッドな音をバックに、存分に歌を聴かせてくれる。
かといって本物志向を過剰にアピールするためにやみくもに重かったり暗かったりはせず、良いバランス。そこが、「この人は音楽を本当に楽しんでいるんだな」と感じさせる。こういう人が次から次へと出てくるのだから、アメリカの音楽界は恐ろしい。(2014/7/16 記)