音楽レビュー Al Jarreau


Love Songs (2008)


(★★★★☆ 星4つ)

Al Jarreauは日本であまり図抜けてポピュラーというわけではない。昔、USA for Africaの”We Are The World”に出てきたのを知っている人がいるくらいではないだろうか(しかも大概の日本人は『このオジサン誰?』と思ったかもしれない)。
しかし、本国アメリカでは、まろやかで温かい声に魅了された長年のファンもおり、魅了される人も少なくない。だからこそUSA for Africaの参加メンバーにも選ばれたのだろう。

前置きが長くなったが、個人的にはAl Jarreauに興味を惹かれつつも、きちんと聴いたことがなかった。その点では日本にいる一般的なリスナーと同じと思う。あたりのやわらかい上品さが、かえって積極的に手を伸ばすことを妨げていたのだと思う。しかしふと、このアルバムを見かけて、再評価といえばあまりにおこがましいが、自分の中に取り込んでみようという気になった。

アルバムは直球で”Love Songs”と題されていて、Al Jarreauのやわらかな歌声にぴったりの内容。今までまともに聴かないでおいて損をした。温かさでいうとTeddy Pendergrassのボーカルをどこか思わせるが、そこからはややセクシーさを引いて素朴さを足した感じで、ひたすら安心して聴ける。R&Bは何もダンスやセックス直結でなくてもいいと思わせる平和な1枚。