音楽レビュー Adina Howard


Ressurection (2017)


(★★★☆☆ 星3つ)
まずびっくりしたのが、下記の作品から10年経ってのまたの復活よりも、これがiTunesではアダルト・コンテンポラリーに分類されていること。過去の作品を知る人間からは、どちらかと言うと洗練という意味で使われるアダルト・コンテンポラリーにAdina Howardが入れられていることは考えられない。

では中身はどうかと聴いてみるに、確かに大人の雰囲気になっている。Explicit版も存在するが、あまりに性的にあからさまな感じは一歩引っ込み、聴き流せる感じになった。これが10年の歳月というものだろうか。言ってみれば、元はヤンキーだった娘が「昔は私もヤンチャやってましたぁ」と言いながら(今の私は洗練されたでしょ?)と言外にアピールしつつ突然黒髪・ストレートヘアでしばらくぶりに現れたような感じ。本人はこのアルバムを「大人の女性のためのアルバム」と言っている。

心なしか、歌い方までシックになった気がする。図抜けた声域でのフェイクなどは望めないのだが、雰囲気はばっちり。2017年風に整理された音数のトラックながら無味乾燥すぎない、いいところを突いている。ブラックミュージック好きなら聴いておいて損はないだろう。(2017/6/11 記)

Private Show (2007)


(★★★☆☆ 星3つ)

Adina Howardといえば、セックス直結型の印象で、1994年に出たデビューアルバムは、その印象からたじろいで買いそびれてしまった。その名も”Do You Wanna Ride?”で、ジャケットもカーウォッシュのあの感じ。

それはそうとこのアルバムは、それから13年経ってのリリースなのだが、音は大人の仕上がり。しかし、ジャケット写真にあるparental advisoryのシールが示すとおり、内容はセクシーというよりも、セックスである。男でセックス音楽といえばレビューにも書いたR. Kellyだが、女版R. Kellyといった風情。しかし、不思議とどこか一線を保っているように感じるのは、13年の年月のせいか、それともAdina Howardのキャラクターによるものか。