音楽レビュー Omar


Love In Beats (2017)


(★★★★☆ 星4つ)




Omarのキラーチューンといえば”There’s Nothing Like This”。最初に聴いたのは1991年に買ったダンスコンピレーションアルバムで、ダンスチューンではないそれの、吹き渡るそよ風のように爽やかでリラックスしたムードに圧倒された。OmarもThere’s Nothing~の成功は意識しているようで、このLove In Beatsの前のアルバム”The Man”ではアレンジを変えてセルフカバーを披露している。

それはそうと本題のこのアルバムだが、R&Bに分類しようとしたが、リラックスした洗練ムードを湛えていて、どちらかというとスムースジャズ。ゲストアーティストを迎えてのアプローチも変化に富み、スタイルもスムースジャズを思わせるものからアシッド風、トリップホップ風まで自由自在。幅広いので、一応この音楽レビューではジャズ(アシッド・ジャズを含む)に分類しておいた。Incognito(やそのヘッドのBluey)が好きなら、お勧め。

一貫しているのは、リゾートっぽい楽観的で温かい雰囲気。音楽的には高度なテンションを用いていたりするが、テクニックに傾倒せず、心地よさを提供する。どこかで流れていそうな、しかしOmarにしかなし得ない音楽で、キャリアとともに存在感を放つ。(2017/3/29 記)