音楽レビュー Lori Williams


Eclipse Of The Soul (2012)


(★★★★☆ 星4つ)

ワシントンをベースに活動するジャズボーカリスト。一聴すると正統派のジャズなのだが、少しソウルフレイバーを感じるのが特色。シックで通すのでなく、時々エモーショナルな歌い方があるからかもしれない。タイトルもおそらくそれを意識したものだろう。普段R&Bやソウルを聴いている耳には馴染み良い。
バックバンドの構成もストイックすぎず、カラフルな感じの音。ピアノが割としっかりしたコードバッキングをしているのも、少しポピュラー風。少し鼻声っぽい声なのが気になるといえば気になるのだが、歌い方は安定しているし、素直な声質なので、くつろぎの空間に流すのにいい。

曲構成も賑やかで、”La Vie En Rose”のジャズ版(素直なアレンジ)があったり、面白いことにベートーベンの月光ソナタ(もちろん一楽章)に歌詞をつけて歌っている曲があったりする。ずっとあのソナタをあのまま演られると辛いかもしれないが、途中からジャジーというか、ブルージーなアレンジで独自の展開にしているので、聴ける。また、最後の曲などはSérgio Mendesあたりがやりそうなラテンぽい展開がある。定番に陥らず、面白い人だと思う。(2013/2/21 記)