音楽レビュー Fourplay


Silver (2015)


(★★★★☆ 星4つ)



衝撃のグループ結成から長年経ち、当初は数回限りのプロジェクトかと思われたがすっかり定着。音も偉大なるマンネリというと畏れ多い積年の説得力を携え、しかし極めてスムーズ。

最初Fourplayに興味を持ったのは、セッションシンガーが面白かったからだ。Patti Austin、Phil CollinsChaka Khanなど、超一流シンガーを迎えて、いかにも豪華絢爛な作品を織りなしている様が面白かった。

それから比べると、そのようなゲストボーカルを迎え入れずにインストゥルメントだけの曲構成にしたこの作品は随分抑制的で、サックスなどは入るにしろ、主にFourplayのメンバーでの音の極みを目指しているのが目を引く。”Silver”と題されたこれは、各収録曲も銀に関連するタイトルがつけられ、コンセプチュアルで、まとまりのいいアルバム。かつてはマンネリ気味で面白くないなと思ったものだが、緩急ついた中に様々なきらめきを感じられて、これはキンキラ輝くのではなく、まさに渋いシルバー。いぶし銀の味わいを楽しむためのもの。

そう考えられるようになったのも、年月を経て自分の耳が肥えてきたからかと思いたいが、あれこれ考えず、ともかく素直に心地よさに耳を傾けていたい。(2015/10/15 記)

Energy (2008)


(★★★☆☆ 星3つ)



名プレイヤー集結ゆえ、演奏のクオリティ云々などのレベルでは語るも愚のユニット。結成当時からすでに円熟していたので、そのハイエンドを維持することがすでに奇跡、という感じだが、曲自体はスムーズすぎてちょっと面白味がないというか。”Look Both Ways”ではさすがの緻密なセッションが聴けて圧巻だが、あとはショッピングモールで流されていそうな感じ。

それから、曲順が疑問。アルバムとしてまとめて聴くと、これでいいのか、という感じがする。この順番では曲調がバラバラに感じられて、流れがよくわからない。