音楽レビュー Eugenie Jones


Black Lace Blue Tears (2013)


(★★★★☆ 星4つ)

シアトルで活動を開始した人で、新人のようだが、どこかキャリアを感じさせる。名前の響きのせいか? このアルバムがデビュー作となるようだが、落ち着いた正面切ってのジャズで、安定感がある。

1曲目の”A Good Day”はタイトルどおり”Today is a good day…”と軽快に歌い始め、一日の始めや休日の昼間に聴きたくなるような軽快感がある。昼間に聴きたくなるジャズは珍しい。
かと思うとシックなナンバーもあって、”In A Shot Of Tequila Or Two”などはまさに夜のバーの雰囲気。名曲”Take 5″に歌詞をつけて歌う意欲作もあって、一枚でいろんな可能性を感じさせるのは、デビューアルバムとしてふさわしい。

声は素直。爽やかだが深みも感じさせる声で、低音から高音まで伸びやか。しかしスタイルは少し俺の好みとは異なっていて、この人は細かいビブラートを多用する。個人的には「ちりめんビブラート」と呼んでいるが、これをやられるとどうもそれに耳が行ってしまって、曲自体に入り込めない。が、まだ控えめな方なので、気になってしょうがないというほどではない。総じて言えば、聴いて決して損のない一枚。