音楽レビュー Bluey


Life Between The Notes (2015)


(★★★★★ 星5つ)




Bluey名義のソロアルバムである。BlueyといえばニアリーイコールIncognito、IncognitoイコールBlueyだが、どういう棲み分けがあるのか興味深く聴いた。

結果、あまりはっきりした棲み分けはないようにも思えた。しかし、IncognitoよりもJazzyで、ひと昔前のニューヨリカン・ソウルのような趣がある。そして、Incognitoでは「ハヨイショ」「アソーレ」の合いの手のごとく乱発されるホーンセクションがごく控えめで、より洗練された音になって、Incognitoではバッキングに徹しているピアノがより目立つ。

ではボーカルはどうか。これが、イケている。Incognitoを聴く時の楽しみの一つは、どんな女性ボーカリストがフィーチャーされて、Blueyの音とどう化学変化を起こすかだが、Blueyは男声ボーカルらしい落ち着きを与える。そして、歌唱力が「プロデューサーがついでに歌っちゃいました」という程度ではなく、きちんとソロアーティストとしてのクオリティーを備えているのである。
サウンドはIncognitoよりもJazzyと書いたが、BlueyのボーカルはIncognitoよりもR&B色が濃いように聴こえる。フィエクの節回しを盛んにやってのける訳ではないのだが、声質だろうか。

いずれにせよ、これは聴く価値がある。そして、聴いて満足感がある。さすが名グループを何十年も率いて、他のアーティストをもプロデュースできる人だと、恐れいった。(2015/5/8 記)