音楽レビュー Ross Couch


Sounds Of Seduction (2015)


(★★★★★ 星5つ)




いいバランスのディープハウス。禁欲的すぎず、色気立ちすぎず、ビートもダウンすぎず、エッジーすぎず、アッパーすぎず。これはコンピレーションで、既発作品からのピックアップのようだが、異なる時期に発表されたトラックでも、まとめて聴いて違和感がない。その点でもバランスがよい。Ross Couchの世界を知るには好適。

Ross Couchはグラスゴー出身のダンスミュージックプロデューサーで、自身のレーベルを運営するなど、精力的に活動している。2001年に初EPを出してから、連綿と活動していて、アンダーグラウンドでは既に知られた存在のよう。アルバムジャケットに顔を出してはいないが、理知的な雰囲気の人だ。あまりメジャーにならない分野ではあるが(ディープハウスやラウンジ系がメジャーになると意義を失うと思う)、洗練されたその音楽はもっと知られていいと思う。大人が聴くべき音楽とはこういうもの。(2015/8/18 記)