音楽レビュー David Morales


Changes (2012)


(★★★★☆ 星4つ)

アルバムとしてハウスを聴くのは、シングルに比べると少ない。ハウスリミキサーは他アーティストのシングルのリミックス勝負であることがほとんどだからだが、David Moralesはオリジナル楽曲で勝負する人という印象が強い。これはDavid Moralesのカラーがフルに活かされた一枚。

俺はループやフィルター使いで1小節ごと、ひどいと2拍ごとブチブチに切れた音が嫌いなので、David Moralesのような流れるなめらかな音は、聴いていて大変安心する。その点ではクラシックとさえ言ってもいいほどだが、音は時代遅れにはならず、攻めの作りをしている。その辺り、変わっていこうとする意志が感じ誰、アルバムタイトルどおりだ。

音は一聴してDavid Moralesと分かるようなドンドンと空気感を伴うバスドラから繊細な音まで、バリエーションも豊か。フィーチャーされたボーカリストも、いいところを引き出されているが、やはりボーカルハウスはボーカリストの力量如何でノリが全く異なってくる。このアルバムで特に良かったのは、複数曲にフィーチャーされているUltra Naté。曲が俄然締まるというか、緊張感をもって聴かせる感じになっている。最近は安泰路線かとも思っていたUltraだが、やはりそのいい意味での攻撃性はハウスにはなくてはならない。

ボーカルハウスをアルバム全体を通じて聴くと、ちょっとお腹いっぱいになるところもあるのだが、それは過剰なまでの充実ともいえる。ともかく、こうした正道のハウスがまだ現在進行形であることは嬉しい。(2013/5/15 記)