音楽レビュー Craig David


The Time Is Now (2017)


(★★☆☆☆ 星2つ)




どうにも単調なモチーフを延々繰り返す。歌詞も無味乾燥。音は所謂「今っぽさ」を表現する代表選手のようだが、今の音をつまらなくしているのは、こういう人と、それを「これが『今』です」と与えられると何の疑問もなしに飲み込む、自分の判断基準を持たない人とが共謀している結果なのだろう。

モチーフを延々、と書いたが、こういう音楽を聴いていると、今のコンポーザーはメロディーが書けなくなっているのだなと思う。ループ音楽の成れの果てとも言えるが、ループ音楽にはループ音楽なりに、そこで永続性や依存性を表現するとか、その中にも展開があるのでその精妙を味わうとかいった美点があったが、2010年代後半のループは、本当に何も考えていない結果のループで、そこに聴く意義を感じない。こんな音楽を提供されて、これが音楽だと思っているような世代は、かわいそうだとさえ思う。(2018/2/27 記)