音楽レビュー Carl Craig


Sessions (2008)


(★★☆☆☆ 星2つ)

Carl Craigのリミックス集。何となく名前は横目で見ながら、今まで聞く機会がなかったというか聴く気になれなかったのだが、今回まとまって聴いてみて、その理由が分かった。決定的に趣味が合わないのだ。禁欲的といってもいいほど整理された音使いでトラックがループのように繰り返され、そういうのが好きな人はいるんだろうなというのは、理解できる。

が、どこか病んでいる感じで、聞いていて陰鬱な気分になるし、その病んでいる感じというのが、人間の深淵を探ってみたらそこが虚ろであったことを見てしまった時の後ろ暗い感じで、こういうのが好きではないのだなと思った。

聴きながら、”Paris Interiors”と題されたパリに住む著名人宅の内部を写した写真集の中の、ティエリー・ミュグレーの何も無い家を思い出した。人が住んでいるの?と思わされるミニマリズムの極致で、刑務所だってもう少し人のにおいがするだろうに、という空間。そう、Carl Craigの曲を聞いていると、人を拒否している感じがして、いたたまれなくなってしまうのだ。