音楽レビュー Armin Van Buuren


Intense (2013)


(★★★★★ 星5つ)

清く正しく美しいトランス。トランスのコード進行は大抵が予定調和的で、そこには面白みがない。それが故にトランスは俺がメインで聴くクラブミュージックではないのだが、たまにこういうのを聴くと、安心感がある。

では、安心感の他に何があるのか。美しいトランスには、退廃美にも似た寂寥感が漂っている。それがいい。Armin Van BuurenはDJプレイではかなりカラフルでバリエーションのある音源を選んで、ノリ第一でプレイしているのかと思うようなところがあるが(それはストリーミング放送で聴いた限りの感想で、実際にライブでプレイを聴いたことはないから、ライブならまた違うのかもしれないが)、この自らの名前を冠したアルバムでは、透明な美が感じられる。
そして、ボーカルラインがメロディックで美しいのがまたいい。トランスでボーカルがしっかりしていると、聴いていてとても気分が高揚する。

蒸留酒系のカクテルでも飲んで頭をぶっ飛ばしてこれで踊ったら、さぞ切な楽しかろうと思う音楽。これはヘッドホンよりはやはり箱で空気を通して聴きたい。