映画レビュー ザ・フォッグ(1980年)(The Fog)



(★★★★★ 星5つ)

ホラーの古典作品で2005年に同名でリメイクもされているので、ここでは『ザ・フォッグ(1980年)』と記した。ちなみに”The Mist”という題のホラー映画もあるからややこしい。(そちらも濃い霧が田舎町を襲い、霧の中には…というストーリー展開)

さて、これはいま観ても一級品。何もない田舎の港町に潜むいわくつきの開港物語。怪しい霧。そしてその霧の中から現れる物。テンポもよし、筋書きもよし、突然ギャーっと驚かせるところもあれば、じわじわ恐いところもあって、「ホラー映画はこうでなくては!」と思わせるエッセンスが詰まっている。血しぶき・内臓を見せなくても、また1980年にあって、CGのなかった時代でもここまでできるという到達点。観るべし。

蛇足になるが、個人的には出てくるカセットテープ、ダイヤル式固定電話、アナログレコードプレーヤーなどの機材や自動車が、当時を感じさせるものでとてもよかった。作りを見ていると、機械にも無駄が許されるのどかな時代であったのだなあと、しみじみする。また、主人公の女性の風貌が、若いのにどことなくDionne Warwickを思わせるのも、なんだかツボ。