映画レビュー スパークル (Sparkle)



(★★★☆☆ 星3つ)



Whitney Houstonの遺作となった映画。主演は「一応」Jordin Sparksで、彼女を売り出すがために名前も似た響きの役名として設定しているのだろう。

のだが、Jordin Sparksは完全に置いてけぼり。筋としては、メジャーデビューを夢見る黒人3人姉妹の真ん中Sparkleはいつも引っ込み思案で歌も諦めていたが、のし上がり系の長女が薬物とDVの犠牲となった後にいよいよ決心して、というもの。だが、Sparkleの影が一番薄い。Sparkleの母親役のホイットニーがシーンに登場する度、全部持って行ってしまっていかれている。長女の体当たり演技にも、雰囲気のある末娘の演技にも及ぶところがない。ソロのパフォーマンスにも盛り上がりに説得力がない。

3人グループがデビューを夢見て軋轢もあり、というと”Dream Girls”を思い浮かべる。ストーリーは無論異なるのだが、誰もがあのミュージカル映画を思い浮かべるところでこれを見ると、スケールダウンした感じを残念だと思うだろう。それは、”Dream Girls”といえばオリジナルはあのJennifer Hollidayであり、映画ではJennifer Hudsonでありと、比べられる対象が成功しているだけに、想起するに酷かもしれないが。

結局この映画の意義は、ホイットニーを観る・聴くことにある。テーマ曲はJordin Sparksとのデュエットだが、それはあまり聴いて感銘を受けるものではなく、作中の最後の姿とパフォーマンス(”His Eye Is On The Sparrow”を演っている)を記憶に留めておくためにこれを観たのだと思えば、幾分浮かばれる。しかし、Jordin Sparksは、もっと違うあり方であれば光っただろうに、多少可哀想な気がする。そしてホイットニーの枯れた姿と声に、悲哀を感じる。