映画レビュー GF*BF (女朋友。男朋友)



(★★★★★ 星5つ)

正に三つ巴の三角関係の映画。三角関係でそこに男から男への恋愛感情がある点は特に珍しくもない。というと世界観が狭そうだが、台湾の社会体制変革を背景に27年の時を経て物語が展開されるとなると、話は別だ。

好感が持てるのは、すべてに渡って丁寧に丁寧に作られていること。役作り、映像美、音楽など、映画はそういう要素を楽しみたい、というところをきちんと拾ってくれている。そうした姿勢があると、安心して物語に入り込める。

そして肝心の物語だが、抑制の効いた表現(特に思慕の念を明かすか明かさないかなど)が深みを与えている。学生の反乱などというと日本の学園物は演技も演出もプロットも考えたくもないお安さだが、ここにはチープさは微塵もない。
そしてそれぞれに生きにくさを抱えていながら、傷を舐め合うでもなく、自分を生きようとする3人の様が実に活き活きと描かれている。同性愛的要素を扱ったアジア映画によくありがちな倫理に押しつぶされる悲恋に留まっていないところも好感。同性愛がメインテーマでもサブでもなく、まったく対等に扱われているからか。こうした上質な映画が作られる台湾を羨ましく思う。(2014/6/17 記)