映画レビュー ジェフリー・ダーマー (Dahmer)



(☆☆☆☆☆ 星ゼロ)

シリアルキラーとしてその汚名を全米にとどろかせたジェフリーダーマーを素材として取り上げた「フィクション」だが、まったくもって駄作である。シリアルキラーが恍惚を伴って殺人に及び、その死体を愛し、一部は食べ、保存したといった一連の行為は、ダーマー本人にとっては、末路が見えながらもルーティーンと化していった行為であるが、この映画の製作者は、ダーマーにシンパシーを抱かせるかのような表情をつけ、相手を死に至らしめる時の行為に人間味を過剰に与えている。

逆に、連続殺人が行われ腐敗した人体がそこかしこにあったダーマーのアパートの様子は、このDVDでは異常にクリーンで、ロボトミー手術を行った(結果死亡した)犠牲者の死体は、何日経っても腐敗しない。シリアルキラーのシリアルキラーたる現実を見ようとしないこの作品は、時間の無駄で、インターネットでジェフリーダーマーを検索した方が、ダーマーがどうあったのかを知るのには、よほどマシだ。