映画レビュー カポーティ (Capote)



(★★★★★ 星5つ)

『叶えられた祈り』(書籍レビュー参照)執筆中に社交界から総すかんを食らい、アルコール中毒で死んだカポーティ。あの誰からも愛されない性格の萌芽、そしてその「異常な」増大がうまく描かれている。
観ながら「倫理観と功名心とのせめぎあいはこの人にはなかったのか?」と思うと、常にイライラさせられるだろうが、その人間としての異質なところを描き出していることこそが、カポーティにスポットを当てた意義なので、自分の感情に幻惑されずに観ると、本質が見えてくる。

所謂queerや劇場的性格に対する先入観・偏見を捨てれば、本作の伝えんとするところがよく分かるだろう。フィリップ・シーモア・ホフマンの演技の巧さも光る。