ブックレビュー チャールズ・ブコウスキー

(★★★★★ 星5つ)
(★★★★★ 星5つ)

ありきたりの狂気の物語


(★★★★★ 星5つ)

読むのに骨が折れる。というのは内容が難解なのではなく、延々繰り返されるどうしようもない日常の集積の中にきらりと光るエッセンスを拾い出すのは、砂金集めに似た茫漠さだからだ。
アルコール、ドラッグ、セックスにまみれていて、おまけに金欠でといったところから来るこれから「物語」を流れとして感じようとすると失敗する。その集積自体が物語であり、その中にはっとさせられる詩情を見出すことがこれを読む目的であると、読み手は腹をくくっておく必要がある。

ビート文学にあるような疾走感はここにはない。あるのは、疾走の末のexhaustedな無力感、無力でありながらも果てることのない欲望にドライブされる人間の捨てきれない生への渇望、そうした淀みに巧妙に織り込まれた文学的美しさ。バロウズのような幻想でなく、ケルアックのような不毛でなく、カポーティのような自分を汚そうとしない綺麗事でなく、もっと有機的な、生臭さの中にある旨味を醸造するブコウスキーは天才といって良いだろう。そして、彼らのようにどうしようもないのだ。(2014/11/9 記)

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