ブックレビュー『ゲイ・マネーが英国経済を支える!?』

(★★★☆☆ 星3つ)
(★★★☆☆ 星3つ)

入江敦彦(著)


(★★★☆☆ 星3つ)

イギリス市場でいかにゲイがお金を落とす存在であるかを数字を挙げて語るとともに、社会的・経済的に影響力のあるゲイやレズビアンを列挙して、ついでにストレートピープルにも少し教育してしまおうという内容の新書本。経済がメインテーマに置かれているようだが、実体は経済をネタにしたイギリス社会のゲイの様相についてのエッセイ。それはそれでOKと思う。

あくまで一般人向けというか、ゲイマガジンでない一般向けに出ている新書なので、多少積極臭くなるのはしょうがないし、世の中には教育しなければいけないおバカさんも未だたくさんいるからそれはそれでありとしても、しかし「こんなエライ人もゲイ、あのヒトもゲイ、ゲイは気前がよくてブランドロイヤリティーが高くてパワーがあるんだから、あなた達リスペクトよ!」とやってみせる手は、ゲイたる当事者の目からはいささか食傷気味に感じるところもある。それに、果たして「ゲイってエライ人たくさんいるんだから!」と言ったところで、「ああそうか、じゃあ尊敬しなきゃ」という風には、ならないと思う。「普通の」感覚の人は。

しかし、それはそれとして、本で数字を挙げるということは、大変なことだ。明確な裏付けが要るし、嘘を書けない。たった1行「イギリスのゲイが○○に1年間に費やす金額は××ポンド」と書くだけのためには、いろんな資料を引っ張ってきて検証しなければならないので、これ1冊を書くには大変な労力を要したことと思う。その点には敬服する。
それに、こういったゲイの傾向にフォーカスした本が出版される機会を得ることさえ、日本ではまだまだ稀なことだから、この本が陽の目を見たことは喜ばしい。途中で筆者が書くことに飽きてきたのか、突然くだけた表現で逃げるところがあって、それはどうなんだろうと感じることもあった。それからレインボーを7色とする決定的誤植が何とも無念。が、何はともあれ、「あの、世間とは隔絶された、ちょっと関わったオカマの人達」がごく普通の経済社会に生きていて、そこをリードしさえする存在であることを書き留めておくというのは大事なことだ。

星4つでもよかったが、ちょっと上記の文章のくだけ加減が違和感だったのと、あちこち手を伸ばしすぎて話題が本のタイトルにそぐわないかと思われるようなことも入っているところが、個人的にはあまり趣味でなく、その意味で星3つ。でも、良書だと思う。ゲイについて実体を知りたい人がいて、その人が何か本を探しているなら、俺はこの本を推薦する一冊に挙げるだろう。

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