ダークサイド I エピローグ


『ダークサイド I-11 残像と埋め込まれた物』からの続き)

ダークサイド Iの終わりに、いくつか補足しておく事項がある。

これら一連のダークサイト中、親戚との関係はほとんど書かなかった。父の葬儀に訪れた叔父叔母が少し母と交流していることだろうが、俺との交流はもちろんない。父は6人兄弟だが、叔母以外とは交流も切れており(父の妹のうちの1人は父存命中早い時期に癌で他界)、母には兄がいるが、折り合い悪く、交流はまったくない。従って、俺には親戚付き合いという煩わしいことはない。俺がゲイ云々については恐らく知らず、知っていたとしても影響は何もない。

妹から見た父母の印象や、感じていることは、これとは大きく異なる可能性がある。妹は父とは俺よりももっと近しい関係性にあったし、母にはまとわりつかれていながら、責任感からずっと面倒を見て、愛憎相半ばするところもあり、これまた俺よりもずっとシビアな場所にいたので、俺の知らないことをたくさん知っていると思う。ひょっとしたら事実関係さえ、妹から見ると異なって見えるところもあるかもしれない。

事態を複雑にしているのは、ここで延々と書き綴ったネガティブなことのみならば、簡単に憎んで切り捨ててしまえばよいが、贅沢をさせ、教養を与えして、俺が今を生き抜く力を授けるもとになったのも、また両親に依るところが大きいという点である。それに、豊かな時には、豊かだったがゆえに粗が出なかったこともあったのだろうが、家庭には笑いもあり、そのままであれば両親のネガティビティーも見過ごしてしまえるようなものだったのかもしれない。過去は全否定しづらく、また、正邪混淆した状態になっているのが、折り合いをつけにくくする大きな要因のひとつだ。

(『ダークサイド I』完 以上、2010年7月記)

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