シャンパーニュレビュー Pierson-Cuvelier Cuvée Prestige Brut


久しぶりに当たりのレコルタン・マニピュラン(自社畑のぶどうで醸造する造り手)のシャンパーニュ。

Pierson-Cuvelier Cuvée Prestige Brut
Pierson-Cuvelier Cuvée Prestige Brut

Pierson-Cuvelier Cuvée Prestige Brut(ピエルソン・キュヴリエ キュヴェ・プレステージ ブリュット)は、ルーヴォワ村に本拠を置く造り手。このキュヴェ・プレステージに使用するぶどうは全てグラン・クリュで、畑はボランジェに囲まれていて、ボランジェに毎年売ってくれと言われているとか。しかし、グラン・クリュは自社の醸造に使ってしまい、他社に売るのはプルミエ・クリュの畑のもので、しかも売り先はボランジェではなくドゥーツ。

売りが何故そうした事情になっているのかは分からないが、ともかくここのは超一流グランメゾンが欲しがるぶどうだから、そのグラン・クリュで醸したこれがどうなのか、とても興味があった。

エチケット。
エチケット。

このキュヴェ・プレステージはピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワール。クール・ド・キュヴェのみ使用でマロラクティック発酵を施し、熟成は4年とか。

開栓し、グラスに注ぐと泡はクリーミー。プチプチ弾けるのではなく、さあっと層を作って展開するが、すぐに落ち着き、細かい上品な泡立ちを見せる。ブリオッシュ香やトースト香などの発酵香は控えめ。柑橘、シシリアンレモンのような爽やかな香りに白い花々や蜂蜜が潜んでいる。色はやや浅いが、ピノ・ノワールらしく、ほんの少しオレンジ味に振れた色。

泡が落ち着くと上品な出で立ち。
泡が落ち着くと上品な出で立ち。

マロラクティック発酵を施してあるだけに味は丸められている。爽やかさだけではない深みもあって、マールのような香りとコクも感じられるが、重くはない。余韻はさほど長くはないが、鼻に抜ける香りは高揚感がある。全体に非常に良いバランス。シャンパーニュを飲み慣れた人なら良さにすぐ気づくだろう。

食べ物との相性も良く、対応力がある。カマンベールやはちみつがけのゴルゴンゾーラあたりはいける。グースレバーのパテとも◎。36ヶ月熟成パルミジャーノ・レッジャーノあたりだと、少しピノ・ノワールの動物的な部分が現れる。

チーズやパテなどとの相性も良い。
チーズやパテなどとの相性も良い。

Pierson-Cuvelier Cuvée Prestigeの良さを感じたのはここから。時間とともにマールのようなラタフィアのような香りと味が出てきて、それが滑らかで味わい深いというのはじょにおの弁。そして、そうした香りや味は普通重く感じるのに、酔い心地が軽く、体に負担を感じない。絶妙。

と思ったら、実はこのPierson-Cuvelier、レッドラタフィアを作っていて、それが名声を得ているのだとか。関連がなきにしもあらずだろう、じょにおの舌もなかなか。

これは大変気に入った。値段的にもお手頃で、探せば安売りのヴーヴ・クリコイエローラベル・ブリュット位で手に入る。パーティーなど、銘柄で喜ぶ人が集う所ではウケないだろうが、シャンパーニュ好きには薦めたい。