シャンパーニュレビュー Jean Vesselle Rosé de Saignée Brut


たまにロゼを飲みたくなる時があって、しかしそういう時には注意深く選ばねばならないと思う。何故なら、時々ロゼシャンパーニュのレビューの時には触れているが、味が赤ワインの風味を持っていてシャンパーニュらしさが今ひとつというものがあるからだ。大抵そういうのは赤ワインを混ぜるアッサンブラージュ法で作られている。

よって、シャンパーニュらしさを求めつつロゼで、という時にはセニエ(マセラシオンとも 果皮浸潤法)で作られたものを選ぶのは、一つの方法。これはまさに名前に製法が入っていてわかりやすく、試してみた。

Jean Vesselle Rosé de Saignée Brut
Jean Vesselle Rosé de Saignée Brut

Jean Vesselleはレコルタン・マニピュラン(ぶどうを自分で育て、そのぶどうでシャンパーニュを醸す自家醸造家)である。Jean Vesselle Rosé de Saignée Brut(ジャン・ヴェッセル ロゼ・ド・セニエ ブリュット)は、前にOeil de Perdrix Brut(ヤマウズラの目)という名前の、見た目に美しくおいしいシャンパーニュを飲んで気に入り、愛飲しているのだが、そこのロゼ。グラン・クリュであるブージィ村の名産ピノ・ノワールを100%使用した贅沢な造り。ドサージュ(澱抜き後のリキュールによる補糖)は9g/l。2-3年の熟成を経て出荷される。

注ぐと、色が濃い。ロゼというとほんのりサーモンピンクからいわゆるロゼの色までが大半で、こんなに色が濃いのは、今まで飲んだのではPiper-Heidsieck Rose Sauvageくらい。公式サイトの記述によると、セニエで造る際にやはりタンニンが過多にならないように配慮しているとのことだが、そのことは飲んでから知ったので、この時点では赤ワインぽい味かなと少し不安。

かなりの赤みを帯びた色調。
かなりの赤みを帯びた色調。

しかし、不安は一口飲んですぐに解消した。フルーティーで、酸も感じられ、味はきちんとシャンパーニュ。香りは少々控えめで、様々な芳香を放つタイプではないが、生のぶどうのふくよかさを感じる。もちろんぶどうジュースそのままであるのではなく、シャンパーニュに昇華している。泡はシルキー。上品な部類で、いかにもエキス分の濃い液体の中をそよそよと細かな泡が立ち上る。

エチケット。色の濃いロゼらしい色。
エチケット。色の濃いロゼらしい色。

飲み進めても体が辛くない。酔い心地がいいのだ。同じ黒ぶどうでもピノ・ムニエが入ると、どうもヘヴィーな酔い心地がするのだが、これはピノ・ノワール100%の恩恵か。しかし、ピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワールでも体がしんどいと感じられるものも割とあるので、これは醸し方が丁寧なことの証でもあるのだろう。

チーズやオリーブと共に楽しんだが、奥行きのある味わいなので、結構味の強いチーズなどとも合いそうだった。

チーズ3種とタイム風味のセミドライ・ブラックオリーブ。
チーズ3種とタイム風味のセミドライ・ブラックオリーブ。

味も見た目も良いロゼシャンパーニュを探しているなら、安易に大量生産で作られた某大手ネゴシアン・マニピュランのロゼよりも絶対お勧め。しかし、小さな造り手だし、あまり猫も杓子もというよりは、本当にシャンパーニュの好きな人に知ってほしい一本。