シャンパーニュレビュー Infinite Eight Cuvée N°8


8の字と∞をかけ合わせた名前をつけられたInfinite Eight。何やらそんな名前のアイドルだか何だかが某国にいたようだが、それはさておき、醸造家とラグジュアリーブランドのパッケージデザイン、マーケティング、コンセプターをやっている2人が組んで作ったブランドだとか。触れ込みでは「セレブ」に人気で、アメリカではアルマンドブリニャックを凌ぐとか何とか派手な文句が踊る。ともあれ、飲んでみた。

Infinite Eight Cuvée N°8
Infinite Eight Cuvée N°8

(インフィニット・エイト キュヴェ・ナンバーエイト)は、Infinite Eightのスタンダードキュヴェ。スタンダードながら熟成は4年を経ているとか。ボトル裏のシールに記されたドサージュ(澱抜き後のリキュールによる補糖)は8g/l。セパージュ(使用されるぶどう品種の割合)は、シャルドネ51%、ピノ・ムニエ38%、ピノ・ノワール11% と、ピノ・ムニエの比率がシャルドネに次いで多い。

飲み頃の温度になると∞の部分が赤に変わるという仕掛けつき。が、お遊び程度であまり正確ではないようだ。
飲み頃の温度になると∞の部分が赤に変わるという仕掛けつき。が、お遊び程度であまり正確ではないようだ。

Infinite Eightについては「こだわりのあるヴィンテージだけをリリースする」というインポーターが配ったのであろう資料のコピペが販売サイトでよく見られるが、どんなこだわりなのかは不明だし、ヴィンテージだけをリリースといいながらこれはNV(ノン・ヴィンテージ)。2009年ベースに、2004~2008年、2010年のリザーブドワイン45%をブレンドしている…と聞くと、リザーブドワインの比率は確かに高いが、単なるアッサンブラージュ。せいぜい言ってもマルチヴィンテージといったところ。詳細を参照しようにも、公式サイトはいつまで経ってもComing soon状態だし(2018年2月中旬現在)、それでもって設立者のラグジュアリーブランドのマーケッター&コンセプターとしての責任は全うされているといえるんだろうか、と疑問。ちなみにGoogleマップでメゾンを確認したところ、有名メゾンの多いランスにあるようだが、メゾンの建物でそれと確認できる表札等はなく。

さて、懐疑的な姿勢からスタートしたが、開栓。グラスに注ぐと泡は高く上がってもすぐ収まる。色は黄金色。口当たりはスムーズ。丸みがあって、その点ではフィネスを感じる。

泡と色の様子。
泡と色の様子。

だが、香気が少ない。特徴がないとでも言うべきか。シャンパーニュの魅力の一つは、気分を高揚させる様々なアロマが感じられるところだと思うのだが、どうにも控えめ。サーブする温度を変えてみたりもしたのだが、目立った変化は感じられなかった。泡も、クリーミーとかムーシーという感じでもなく、かといってクリスピーでもなく。

群雄割拠のラグジュアリーシャンパーニュ市場で、この特徴のなさで闘っていけるのかどうか。狙っているクラスには、名声を確立し、特徴だったキュヴェを生産する有名メゾンが多くひしめく。マーケティングとイメージ戦略先行型のように見られて、本質が不明となると、Infinite Eightを一度はお試しで選択しても、繰り返し飲む人は多くはないのではないか、というのが実際に飲んでみての感想だ。