シャンパーニュレビュー Grongnet Carpe Diem Brut


2017年の年越しに開けた。Grongnetはスペシャルクラブの一員。ミレジメ(単一年作のぶどうから造るシャンパーニュ。ヴィンテージ)としてはもちろんSpecial Club名でのものがあるのだが、このCarpe DiemはNV(ノン・ヴィンテージ)のプレステージ・キュヴェの位置付けか。明言されている訳ではないので、「か」と言っておく。

Carpe Diem Brut
Carpe Diem Brut

Carpe Diem Brut(カルペ・ディエム・ブリュット)はどうやらGrongnet(グロンニエ)としては独立した扱いにしたいようで、Grongnetの名前はエチケットの下の方に小さい字で記されているだけ。

エチケット。
エチケット。

ギリシャ風のイラストが描かれているのは、このキュヴェがCarpe Diem(ラテン語でギリシャの故事に因んだ、『今日を摘め』との意味)であることと関連する。ところで、男性のギリシャ神が描かれているのに、イラストでは性器が描かれていない。かえって不自然で、そんなところに配慮があるのはかえって無粋だなと思う。

シャンパーニュ自体の話に戻ると、NVではあるが、2007年産が80%、5年分のヴァン・ド・レゼルヴが20%の構成とのこと。セパージュ(使用されるぶどう品種の比率)がちょっと変わっていて、シャルドネ60%、ピノ・ノワール17%、ピノ・ムニエ17%の他、古代種のピノ・ブラン2%、プティ・メリエ2%、アルバンヌ2%もブレンドされているとか。ドザージュ(澱抜き後のリキュールによる補糖)は8g/l。

液体は明るいゴールド。泡は細かい。
液体は明るいゴールド。泡は細かい。

柑橘類や白い花の香りで、酸は鋭くはないがすっきりした感じ。マロラクティック発酵を施していないので、クリアな感じがするのだろう。軽いかと思いきや、基底にはブランデー様の味わいも感じられ、これは木樽による発酵の効果か。

当主はセシル・グロンニエという女性なのだが、女性当主のメゾンのシャンパーニュはすぐそのイメージに引きずられて、「女性らしい繊細な」云々という形容をされがち。しかし、俺はシャンパーニュの醸造やら料理の繊細に男性も女性もないと思っていて、このキュヴェも、しっかりしたベースの味わいや、香りの豊かさは独立した独自の価値であると思う。

この日はタイフードのオードブルと一緒に。
この日はタイフードのオードブルと一緒に。

年末にはいつも食べたい物を気ままに買ってきて合わせるのが我が家流。今年はマンゴーツリーのオードブルと合わせたが、Carpe Diemはスパイシーすぎなければオリエンタルフードにも合わせられる懐の深さがある。

飲み終わりには、バニラや蜜の香りが密やかに漂う。経時的変化も楽しく、飲んでみる価値あり。