ブックレビュー カポーティ

夜の樹 (★★★★☆ 星4つ) 「世の中には人を不愉快にさせるのが得意な人間がいる。そしてその類の人間が才能を持つと一番厄介なことになる。」と↓の『叶えられた祈り』のレビューで書いた。その印象はそのままに、様々な破滅を描…

ブックレビュー カミュ

ペスト (★★★★★ 星5つ) 書いてあることがごくまっとうなせいか、重い舞台設定で起伏のある構成なのに、さらりと 読めてしまう。長さを感じさせない。 凄惨で無情な光景のはずなのに、アルジェリアのエキゾチックさからか、ど…

ブックレビュー エイミー・ベンダー

燃えるスカートの少女 (★★★★★ 星5つ) 極めて現代アメリカ的な舞台で描かれる日常短編集と思って読むと、その設定の非現実的な様にめまいがする。どの話もシュールな設定で、童話、それもちょっと残酷な童話を読んでいるようだ…

ブックレビュー『関東大震災』

吉村 昭(著) (★★★★★ 星5つ) 関東大震災について、徹底的に史実にこだわってレポートした本。興味深いのは、震災前に、東京に大地震がくるのかどうかをめぐって鋭く対立した東京帝国大学の2人の地震学者のことから叙述して…

ブックレビュー『夢について』

よしもとばなな(著) (★★★★★ 星5つ) 個人的にも時々夢日記をつけているので、自分と同じく鮮明にストーリーの入り組んだ夢を見るよしもとばななの話は興味深かった。 いつものヘタウマ調の、しかし綿密に練られた言葉の数々…

ブックレビュー よしもとばなな

(★★★★★ 星5つ)

なんくるない (★★★★☆ 星4つ) 本人も解説で言っているように、観光客の目でみた沖縄を書いた小説短篇集なのだが、沖縄と聞いて沖縄に住んでいない人が思い浮かべるような一般的なイメージにほぼ沿った舞台設定になっている。 …

ブックレビュー 吉田修一

パレード (☆☆☆☆☆ 星ゼロ) まさに糞の役にも立たないとはこういう本のことだ。ダラダラ無意味な描写を続けた挙げ句、最後に支離滅裂ながら、その前に無理やり置いた伏線からはさもありなんという犯罪の展開をして、しかもケツが…

ブックレビュー 安岡章太郎

海辺の光景 (★★★★☆ 星4つ) 短篇集。表題の作品は「うみべ」ではなく「かいへん」だそうだ。 精神を病んだ母親に最期に付き添う様が、そこに至る思い出とともに過去と現在を行きつ戻りつして描かれている。人が狂気に至る様、…