ブックレビュー『ガンジー自伝』

マハトマ・ガンジー(著) (★★★★★ 星5つ) ガンジーは、意志の人である。しかも鉄の意志の人である。そういう人となりであろうことはもちろん読む前から分かっているつもりだったが、本人の言葉で行動をつぶさに記されると、こ…

ブックレビュー『コクトー詩集』

コクトー(著) (★★★★★ 星5つ) 言葉を扱うことに多少の自信がある人は、自分が自由に言葉を選び、配列し、操れると思い込んでいるものだ。だが、コクトーほど自由で華麗に操れる人はいない。自分の言語能力に自信を持っている…

ブックレビュー『関東大震災』

吉村 昭(著) (★★★★★ 星5つ) 関東大震災について、徹底的に史実にこだわってレポートした本。興味深いのは、震災前に、東京に大地震がくるのかどうかをめぐって鋭く対立した東京帝国大学の2人の地震学者のことから叙述して…

ブックレビュー『夢について』

よしもとばなな(著) (★★★★★ 星5つ) 個人的にも時々夢日記をつけているので、自分と同じく鮮明にストーリーの入り組んだ夢を見るよしもとばななの話は興味深かった。 いつものヘタウマ調の、しかし綿密に練られた言葉の数々…

ブックレビュー『世界屠畜紀行』

内澤旬子(著) (★★★★★ 星5つ) 本の背表紙にある宣伝文句には「いつも『肉』を食べているのに、なぜか考えない『肉になるまで』の営み。」とある。俺はそのことをたまに考える。屠畜場がどうなっているのか、動画レポートで見…

ブックレビュー『南方熊楠』

鶴見和子(著) (★★★★★ 星5つ) 破天荒な生き方と、何者をも凌駕する圧倒的な知力と、尽きることを知らない探究心。それが南方熊楠の膨大で深遠な世界を作り出しているが、南方の学問と同じで、彼の生き方を体系的に整理したも…

ブックレビュー『両性具有の美』

白洲正子(著) (★★★★★ 星5つ) 両性具有というと、インドのヒジュラだとかギリシャ神話のヘルマプロディートスだとかを思い浮かべるだろうが、前者は時に神としてあがめられ、後者は人間のもっとも美しい姿との賞賛を受けたギ…