シャンパーニュのある週末


金曜日の夜、じょにおが珍しく飲み会に出かけた。気心知れたゲイの友達と飲むとかで、その前に会社の飲み会にも顔を出してから行ったようだ。俺は気ままにドライブでもして、ちょっと車の撮影でもと思ったのだが、目論んでいた撮影先は雰囲気が良くなくて思ったようなシチュエーションではなかった。じょにおが飲んでいる先まで迎えに来てほしそうだったので、夜中に合流し、少し食事をしてから、じょにおの友達2人も車に乗せて途中で下ろし、じょにおを車で連れ帰った。

翌日の土曜日。じょにおは珍しく土曜休みで、最初は出かけるつもりをしていたのだが、じょにおは結局↑の飲み会で7時間も飲んでいて二日酔い。車に乗ると大変なことになりそうなので、おとなしく家にいることにした。マンションの修繕工事も終わり、幕が取り払われて景色が楽しめるようになったので、じゃあ家にいるなら、と、久しぶりにテラスに出ることにした。

で、用意したのがこれ。
で、用意したのがこれ。

「せっかく晴れたのに出かけられないんだよ!」と俺がゴネた結果(笑)、開けることにした。じょにおは無論ノンアルコールで、ペリエ。シャンパーニュはいつものPiper-Heidsieck Brut。つまみはオリーブのシロップ漬けと、スペインの白カビ熟成サラミ。青空の下、本など読みながら、ゆっくりと楽しむ。陽の高いうちに飲むシャンパーニュほど優雅な気分にさせてくれるものはない。

ゆっくり流れるひと時。
ゆっくり流れるひと時。

ちなみに上の写真に写っている本は、レビューコーナーで紹介したショーン・タンの「アライバル」

秋の空が広がる。
秋の空が広がる。
気ままな時間だから、シャンパーニュに合わせる物も気ままに。いちごのアイスクリームと。
気ままな時間だから、シャンパーニュに合わせる物も気ままに。いちごのアイスクリームと。

ボトル3分の2ほど気分よく飲んで、顔が真っ赤の大酔っ払いになり、この後はベッドに倒れこんで昼寝。出かけなくてよかったかも。(笑)

そして夜、食事を済ませて風呂から上がり、また飲み残しを飲む。

レモンタルトと共に。
レモンタルトと共に。

ガスが抜けきっていておいしくないかとおもいきや、保存が良かったのかまだまだ遜色なく、おいしく飲めた。ということでこの日は一日シャンパーニュ漬け。

さて、日曜日は台風が来るとかで、やはり出かけられず。昼間のうちに夕食の材料の買い出しをしておき、食事を済ませたら、夜はすることもなく、録り貯めたテレビ番組などそぞろに見ながら時間を持て余す。そうなると、飲むか、という気になる。正確に言うと、飲むかという気になったのは俺で、飲むの飲まないの、昨日飲んだでしょどんだけシャンパーニュ飲むの的な攻防戦の後(笑)、結局押し切るように準備。そんな夜の1本は、これ。

Henri Giraud Hommage à François Hémart
Henri Giraud Hommage à François Hémart

Henri Giraud Hommage à François Hémart(アンリ・ジロー オマージュ・ア・フランソワ・エマール)は、アンリ・ジローのメゾンをアイ村に根付かせたフランソワ・エマール(1625-1705)へのオマージュとして作られた物だとか。アイ村のぶどうのみから作られたグラン・クリュで、オークの樽での熟成を経て出荷されるもので、セパージュ(ぶどう品種の比率)はピノ・ノワールとシャルドネが7対3。前に飲んだコードノワールや、エスプリ・ロゼが良かったので、期待の1本。

つまみにはパルミジャーノ・レッジャーノを砕いて焼いたスナックを用意。
つまみにはパルミジャーノ・レッジャーノを砕いて焼いたスナックを用意。

このスナックは、チーズの旨みと香りが味わえてほぼオールマイティーに酒と合うので、お勧め。基本の作り方はこちら

さて、開栓してグラスに注ぐと、勢いはすぐに落ち着いて、Hommage à François Hémartは芳香を漂わせる。色は明るいゴールドで、ほんの少しオレンジがかっている。最初は深みのある中にもすっきりした印象。上品な酸味と、タイムやオレガノのような爽やかな系統のハーブが少し香るイメージ。泡は細かく心地良い。液体のまろやかさは特徴だっていて、非常に飲み良いスムーズさ。いわゆるフィネスを感じることができる。

さわさわと細かい泡が、まろやかな液体の中を上ってくる。
さわさわと細かい泡が、まろやかな液体の中を上ってくる。

ああ、このスムーズさは要注意だね、うちのグラスは一度にたくさん入るからなおのことね、などとじょにおと話していたが、じょにおはさらっと最初の1杯を飲んでしまう。

そして2杯目を注いで驚いた。もう味わいが違う。最初は清楚な面持ちだったのに、芳醇で厚みのある味わいと香りが展開された。品格は保っているのだが、俄然面白いのだ。グラスにいつまでも鼻を近づけておきたくなるような、ローズとジャスミンのような芳香がする。この後半の膨らみは良かった。ああ、幸せ、と言いながらするっと飲んでしまった。そして酔い心地も軽やか。普段厳しい評価のじょにおにとってもこの1本はまずまずだった模様。

つまらないシャンパーニュの引き合いに何度も出してあれだが、モエ・エ・シャンドンなど飲むなら絶対こっちがお勧め。あ、やっぱり、下手にアンリ・ジローの消費が伸びて入手しづらくなると困るから、「目にしたら一度飲んでおいて損はない」くらいの表現に改めさせていただく。(笑)

しかしこうしていたらさすがに来週末は飲めないなと思ったら、来週末は中学の同級生と1泊旅行に行くんだった。じょにおに「アル中?」などと揶揄されているところだから、飲まない週末ということではちょうどいい。