SWVライブ@ Billboard Live Tokyo


SWVと聞いて「ああ、あの!」と即座に反応する人はR&B通、しかも長くR&Bを愛してきた人。彼女らがメインに活躍したのは90年代初頭。ヒットのきっかけはMichael Jacksonの”Human Nature”をサンプルした”Right Here”のいわゆる「おいしいネタ使い」だったかもしれないし、デビュー当時はニュー・ジャック・スウィングのブームでそれに乗ったところがあったかもしれないが、SWVはうまくやったというだけではない。その名Sisters With Voicesの示すとおり、緻密なコーラスワークと艶のある魅力的な声質、見事な歌唱力がシーンを制したと言える。

そんな彼女らが再結成して14年ぶりのアルバムを出したのが今年。レビューはこちらを見ていただくとして、ライブがあると聞いて飛び上がって喜んだ。会社の休憩時間に携帯でチェックして発見、8月の休日が決まっていなかったじょにおに「8/22休み取って!!!!!!!!」とメールし、大急ぎでチケットを2人分予約、そして昨日ライブに行ってきた。今年でやっと31歳のじょにおにとっては当然縁遠いアーティスト、チケットを取ってからは家で繁くSWVの音楽をかけ、予習は怠りなく。

会場はBillboard Live Tokyo、2ヶ月前にKaryn Whiteを聴きにきて以来。今回は前回のKWと違って、同じ年代にヒットしたR&BシンガーなのにKWの時よりも圧倒的に元気のよい(幾分ファンキーな)、そして圧倒的に女性が多い客層に驚く。一瞬「え? SWVのファンってこんなに若かったっけ? この人達すごく若い頃から聴いてたの?」と思ったが、よく見るとそれなりの年齢。(笑)まあでも皆さんエネルギーも若さも保っていてすごい。SWVのみずみずしい声のよう。

オープニング前の様子。
オープニング前の様子。

さて、会場ではいつものとおりシャンパーニュをボトルでオーダー。女店員が別で用意のあるワインリストの存在を知らず、出してあるメニューだけですべてだと言い張り、そういう不勉強はどうかと思ったが、(前にもワインリストの存在を分かっていないのが別にいた)別の男性店員を呼んで無事対処。

今回はBollinger Rosé Brut。普段ロゼはあまり飲まない。シャンパーニュの風味を存分に味わうなら白だが、今回は飲み物に向き合うわけではなく、他のラインナップがちょっと、というところだったので、たまには良かろうかと。食事は済ませてきたのでフードオーダーはチーズの盛り合わせのみ。

色は明るく澄んでいる。
色は明るく澄んでいる。
底部にボランジェの名のエッチングがあるグラスで。
底部にボランジェの名のエッチングがあるグラスで。

香りはロゼ独特のベリー様の香り。Bollingerは6日前にLa Grande Année 2002を飲んだばかりで、スタンダードのロゼとLa Grande Annéeを比較するのは無理があるが、やはりLa Grande Annéeほどの厚みやふくよかさはなく、果皮から来るのだろうか、嫌な感じではないがえぐみのようなものが微かにある。そしてBrutにしてはやや甘い。標準的な印象のシャンパーニュで、軽く飲むにはいいと思う。

◇ ◇ ◇

さてそれはそうと、開演予定の9時半を少し過ぎてライブは開始された。のっけから”All About You”で観客は立つ。”Right Here”, “I’m So Into You”とダンス系のヒットが続き、いいノリ。ただし”Right Here”では著作権の問題からか、MJの”Human Nature”のサンプリングボイスはフィーチャーされていなかった。センターのCokoはちょっと疲れ気味? 右のTaj、左のLeleeはにこやかでアクティブ、はつらつとしていただけに、少しその対比が気になった。声はいずれの3人も好調で安心。

前半はダンス系で締めくくり、一旦退場。衣装替えかと思いきや、そのまま再登場してきた。後半はしっとり系でスタート。”Rain”, “Love Unconditionally”ときて、期待の”If Only You Knew”。ここではCokoのボーカルがようやくはじけて、会場は沸いた。

この後はちょっとお遊び。”They’ll Never Be”の1フレーズを、メンバー3人が順次観客席に来て客に歌わせる演出。Tajは上の方の席まで上っていくサービスっぷり。俺は下りてきたLeLeeに手を振ってお遊びに参加。ぴっちりしたシャツを着ている俺に「あらセクシーね」などと言われて(笑)マイクを差し向けられたのが20年前にCDを買った人からだと思うと、不思議な気分だった。

この後は一気にエンディングのアップテンポ曲、”Do Ya”,” Co Sign”で一旦幕。その後アンコールになり、名曲”Weak”で〆た。

“They’ll Never Be”のお遊びが結構長くて、それ込みで70分ほどというと、少し短いライブだった。それから、Cokoの低テンションぶりが気になった。TajやLeLeeに比べて笑顔も少なかった。あれは、一旦ソロで出て、それから3人組のSWVに出戻っての活動だから、SWVは3人平等というスタンスを取るために、あえて抑え気味にしていたのかもしれないが、ボーカルを期待されているメインの人なのだから、思い切ってパフォームした方がよかったように思う。

そんなだったが、全体的な印象としては声も健在でライブパフォーマンス能力も高く、好印象。じょにおに感想を聞くと、

昨日のSWVライブは正直俺は勉強不足でもったいなかった感が否めません。
んでも声の重厚感とハーモニーは所々涙が出そうになるくらい感動したところもありました。

とのこと。SWVはせっかくの復帰が成功したのだから、最新リリースの”I Missed Us”以降もまた続けていってほしいと思った。