ブノワ・ライエ 自然派シャンパーニュ


一昨日じょにおが9日間のヨーロッパ出張から帰ってきた。主にパリ、そしてミラノ、スイス、フィレンツェを周り、さらにパリに戻って帰国、その間休みはなしの強行スケジュール。帰国当日は疲れていて早々に寝ついたので、お帰りなさいの乾杯はその翌日の昨日。当然、シャンパーニュである。(笑)じょにおに1本選んでもらったのは、これ。

Benoît Lahaye Blanc de Noir Prestage Brut
Benoît Lahaye Blanc de Noir Prestage Brut

体に優しかろうという視点もあって選んだこれ、Benoît Lahaye Blanc de Noir Prestage Brut(ブノワ・ライエ ブラン・ド・ノワール プレステージ・ブリュット)は、ビオディナミ農法の実践者ブノワ・ライエによるシャンパーニュ。シャンパーニュは近年とみに自然農法による製法のものが注目されているが、この人のは徹底していて、耕作に馬を使っていて、その馬は自分のところで飼っているのだとか。ブノワ・ライエは既に注目される作り手の第一人者といっていいと思うが、どんなものだろうかとさっそく開けてみた。

コルクは細いタイプで、炭酸ガスによって勢い良く押し上げられたが、グラスに注いだ液体はすっと細かい泡が泉のように立ち上る感じで、弱くはないが上品な佇まい。開けたところでは当然まだシャンパーニュ自体が開いてこないのは承知の上で一口飲むと、輪郭のある酸がまず感じられた。これは、某サイトのシャトー訪問記を読んだところ、ビオディナミ農法に切り替えて酸がきれいに出るようになった、と本人が言っていたようだから、我々の舌もまずまずシャンパーニュの味わいを感じ取ることができるようになったようだ。

そして感心したのは、液体にいわゆるフィネスがあるところ。完全に丸められているわけではないが、きめ細やかで、ブラン・ド・ノワールの勢いやダイナミックさのポテンシャルは十分にあるけれども、あくまで人に寄り添うやさしさに徹している。飲んで気分がいい。ほっこりする感じ、とでもいったらいいだろうか。シャンパーニュとして気品のある感じと愛想の良さが同時にある。

清楚さも感じる。
清楚さも感じる。
ブラン・ド・ノワールらしい、わずかにオレンジのさす色味。
ブラン・ド・ノワールらしい、わずかにオレンジのさす色味。

香りは控えめで、何かのパレットに例えるよりも、素性の良いぶどうから成り立っている感じを素直に味わえる、といった方がしっくりくるだろうか。ミネラルやシャンパーニュ独特の僅かな苦味もありながら、ともかく、すっ、すっ、と液体が飲む者に馴染む感じは、唯一無二。ちなみにドサージュ(澱抜き後の補糖のために加えるリキュール)はわずか6g/lと、Brutとはいってもエクストラ・ブリュットに近づいているような作りだが、それもその感じに奏功しているのだろうか。

ともかく、ブラン・ド・ノワールというとパワフルな押し出しを想像していたが、これは高揚感もあるのに徹頭徹尾上品。じょにおは特にこの押し付けがましくない佇まいが気に入った模様。

ミュズレーも鈍色にわずかにメゾンの名が読める渋いもの。
ミュズレーも鈍色にわずかにメゾンの名が読める渋いもの。

じょにおがパリで世話になった方がとても素敵で、かついい方で、シャンパーニュを飲みながらお礼のメールを書いていたのだが、その方もシャンパーニュ好きとかで、やっぱりシャンパーニュっていいね、と納得した。

ところでじょにお、パリの仕事では行った先々、しかも普通あまり入れないような場所でシャンパーニュの接待を受けたとか。ずるい! ま、でもいろいろお土産持って帰ってきてくれて、重いのに日本未発売のレアなシャンパーニュも探して買ってきてくれたから、許す。(笑)