気がつけば3周年


じょにおと知り合ってこの連休で3周年を迎える。相も変わらず仲良くよろしくやっている。何だろう、このセキュアな感じは。共にいることが自然で、そして続いていくことも自然に思える。

これまで、うまくいかない恋愛をいくつかしてきて、そのうまくいかない理由の一つは、自分のパッションの大きさ・激しさに一因があったように思える。他人はそれについていけないということが分かるまでに、余りにも長い時間を費やしてしまった。

あるいは、正しさ。そう言ってしまうと、とても不遜だが。いいことをいいと直截に具現化できる人間は世の中に意外に少ないし、具現化する人間を目の当たりにしてそれをそのままストレートに存在肯定できる人もまた少ない。「本音と建前は別」という考え方のこの国の文化に根ざして生きてきて、そうしたGood is goodという人間が少ないこと=つまり直接すぎる邁進に戸惑う人がデフォルトなのに、俺はいつも全てストレートに過ぎたのだろう。(ゲイがストレートすぎるとは何たる皮肉か 笑)

しかし、それはまた自分が周りの人間を理解できなかったということでもあるわけで、それを考えた時、そうした戸惑いを理解できなかったことを、今までの人達には申し訳なく思う。また、荒々しい直接さに触れさせて傷つけてしまったことにも。

今振り返っても痛々しい失敗を経て、しばらく深い関係に誰か特定の人間と入ることが凪いだ後、じょにおは不意に現れた。そしてその時、ごく自然にじょにおが俺に入り込んできた。まるで高級化粧品の謳い文句にあるような浸透力で。あるいは、出来のよい酒が丸くスムーズに喉を通るように。いつも、誰かと付き合い始める時には、2つの要素が必要で、1つはその関係に入ることが(少なくともその開始時には)極自然に思え、超えるべき障壁が、心理的なものをも含め、ないこと。そして最初にそうした特別な1対1の関係に入るための高いエネルギー。前者は開始後にも必要だが、後者はなるべく減衰させていかねばならない。

多分、今までに自分の側で、今までの誰かと付き合った時とじょにおの関係とで違う点は、その後者をうまく(自分で無理せずに)コントロールできたことだろう。特別な関係に入るならば、相手を大事に思ってエネルギーをうまくコントロールしていくべきだと思った。やけどをするような熱さでかっかと火照るのではなく、いつまでも暖かに灯り続けるようなやり方で。じょにおを想うとき、身を焦がし前後不覚になるような流される激情でなく、ポッと胸の内が暖かくなり、そして先を照らすような明かりが胸に灯る。そんな気持ちを持つことができたのだ。

多分、それは俺の側だけの意思ではなくて、じょにおがそうした気持ちを自然に俺に持たせてくれるようにしてくれているのだと思う。「陰になり日向になり」という言葉があるが、じょにおはいつも俺のいてほしい方向にいてくれて、俺をうまく導いてくれているのだ。それは、俺が主役でじょにおが支え役という意味ではもちろんなく、彼は彼の人生を切り拓き、彼の人生の主役であることはもちろんなのだが、俺にとってはいつも接し方が心地よい。

じょにおに実際会った人間が異口同音に言うことに、じょにおは人間ができていて、しっかりしていると言う。俺の口から言うと身内びいきもいいところだが、実際そうだと思う。考え方が成熟しているだけでなく、生来の性格のバランスが取れていると思う。それには育ちもあるのだろうが、じょにおの「上等な感じ」には、きっと本人の、自分自身を形成する努力もとてもあるのだろう。

出会い、そしてその時お互いがシングルで、付き合う関係に入ろうと思える時期的なタイミングは運としかいいようがないが、それからの関係を育てる気持ちを持つ心配りを持つことは、自分たちの力が及ぶところだ。しかし、それをできないで、関係性が危うくなるカップルは多々ある。それは法的に結婚しているカップルとて同じで、制度的に保障されているかどうかにかかわらず、お互いの思いやりの心がその関係を続けさせ、進展させるのだと思う。

じょにおにはあらゆることで感謝している。そして、俺もじょにおの人生を豊かにすることに寄与できればと思っている。じょにお、いつもありがとう。愛しているよ。

◇ ◇ ◇

さて、堅めの話はここらにして、昨日は3周年だから特にということでもないが、久しぶりに1日外出していろいろした。昼間に原宿で待ち合わせて、VODIXで服を買った。そして銀座へ移動。昼食はシチューの老舗「銀之塔」で。

シンプルなメニューのうち、俺は「ミックス」を注文。
シンプルなメニューのうち、俺は「ミックス」を注文。

シチューを食べる時には俺は圧倒的にパン派なのだが、ここは和風の店で、ごはんを合わせる(パンはない)。不思議とご飯に合った味。

シチューを食べた後は銀座・有楽町界隈をうろうろ。昨年末にできた阪急メンズにも行ってきた。何も買わなかったが、感心したのは店そのものよりもむしろ、来店している客のスタイル。みんなおしゃれだった。

そして、少しうろうろした後、ショコラティエのピエール・マルコリーニへ。銀座店には、販売のみでなくカフェもあるので、そこでお茶をすることに。ちょうど10周年で、年末には10周年記念のチョコレートを食べたが、パフェにも10周年記念のものがあった。じょにおはそれを注文。俺は定番のチョコレートパフェを注文。

左が定番のチョコレートパフェ、右が10周年記念のパフェ。
左が定番のチョコレートパフェ、右が10周年記念のパフェ。

大人がパフェ?とあなどるなかれ。甘美で洗練された味覚が凝集されたようなパフェなのだ。じょにおは当然大喜び。店の人がそれを見て笑っていた。我々はカウンター席だったのだが、後でストレートのおしゃれなカップルが入ってきて、彼らも我々を見て「同じのを」と頼んで、満足していたようだった。銀座に行くなら、ぜひ。

さて、食べ終えてまたぶらぶらしてから、『エル・ブリの秘密』という映画を観た。それが観たくて実は銀座に行ったのだが、世界一予約の取れない(閉店したので正確には「取れなかった」)レストラン『エル・ブリ』のメニュー開発をめぐるドキュメンタリー。なのだが、エルブリのシェフはいわゆるモレキュール・キュイジーヌを採用している人なので、内容的にはうーん、な感じ。そして、映画を撮ったのはドイツ人なのだが、やはりドイツ人に料理のことはやらせるべきではないな、というのももう1つの感想。レストランの映画なのに、見てもあまりお腹が空いて何かを食べたいと思わせる感じではなかった。夕食は西銀座の刀削麺のお店でさらっと済ませて帰宅。

帰宅して、夜は3周年の乾杯。年末に買ったストックから、「我々のバラ色の日々を祝して(笑)」と、Deutz Roseを選択。

Deutz Rose
Deutz Rose

メインのエチケット(ラベル)には書いていないが、首元にはBrutの表示。エチケットの図柄は何なのだろうかとしげしげ見てみると、天使だった。

天使の図柄のエチケット。
天使の図柄のエチケット。
ミュズレーはDeutz共通のものだが、留め金がロゼ色。
ミュズレーはDeutz共通のものだが、留め金がロゼ色。

開栓し、グラスに注ぐと淡いロゼ色が美しい。泡は細かく、ゆっくり立ちのぼる。香りはラズベリーのような、コケモモのような、赤いベリー系の香り。

実際にはこれよりももう少し淡い。
実際にはこれよりももう少し淡い。

味わいはBrutだけに、すっきり目。深い熟成のチーズや、トリュフ入りのチーズとよく合った。飲み進めると、ベリー系の香りに少し甘味のあるバラのような香りがしてくる。Deutzは香りの変化が面白い。そしてテクスチャーの滑らかさ・きめ細やかさが特徴。Rose, Brut Classic, Blanc de Blancs 2004と3本買ったので、今月・来月・再来月はDeutzシリーズで行く予定。

ああ、結局シャンパーニュの話で〆てしまった。(笑)